【4月6日 AFP】台湾で特急列車が作業車に衝突し脱線した事故で、運輸安全調査委員会は6日、作業車が線路に転落したのは衝突のわずか1分余り前だったと明らかにした。

 東部の花蓮(Hualien)近郊で2日に発生した事故では、8両編成の満員列車がトンネル内の壁に激突し、少なくとも50人が死亡、210人以上が負傷。台湾でここ数十年に起きた中で最悪の列車事故となった。

 調査員らは、列車はトンネルに入る直前に、鉄道整備用の作業車と「正面衝突」したとしている。

 運輸安全調査委員会が6日に行った説明によると、列車の運転士はブレーキをかけたものの、当時時速約120キロで走行しており、衝突を回避できるだけの減速を数秒以内に行うことは不可能だったとの見方を示した。

 同委は、列車に搭載されていたカメラの映像も公開。これには、作業車がカーブの後方から突然姿を現し、列車が作業車に激突、さらにトンネルの壁にぶつかる様子が捉えられていた。

 関係者らによると、列車が完全停車するには、600メートルの距離、時間にして16.6秒が必要となる。しかし作業車が視界に入った際、列車との距離はわずか約250メートル、反応時間は6.9秒しかなかった。

 作業車は線路脇の急斜面を転落したことから、検察当局は作業車の運転手がパーキングブレーキをかけ損なった可能性や、作業車に不具合があった可能性について調べている。(c)AFP