■無観客では審判へのプレッシャー減少

 今回の研究によると、最終的な試合結果では大きな崩れがなくても、目立って減少した数値がいくつかある。

 ホームチームは、試合での優位性を示すシュート数や枠内シュート数などで統計学的に有意な減少が見られたのだ。

 観客が見ている場合、ホームチームのシュート数は増えても、それがゴール数や勝利に結び付いてはいなかった。これは、ホームで観客を前にすると無理なシュートでも打つ傾向が高まると説明できるかもしれない。

 また有観客の試合では、ホームチームが受けた警告・退場処分はアウェーチームよりも少なかった。これは観客の反応によって審判が圧力を受け、反則に対する評価が変わっている可能性が考えられる。だが、この影響はコロナ流行下では消え、アウェーチームに科せられるファウルやイエローカード、レッドカードの数が少なくなっていた。

 観客の影響による明らかに不公平な判定が試合結果を大きく左右することはなかったが、ウンダーリッヒ氏はこの知見がスポーツ政策を形成する上で役立つと考えている。「審判の偏見というものがあり、審判はそれが存在すること、そして審判の訓練が強化される可能性を認識しなければならない」

 ウンダーリッヒ氏を筆頭著者とするドイツ人研究者4人による論文は、3月31日付で米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された。(c)AFP/Issam AHMED