【4月6日 AFP】欧州のプロサッカーに関する研究で、新型コロナウイルス流行下で行われている無観客試合でも、本拠地で試合をするチームは相手チームよりもかなり有利だとする結果が発表された。

 研究者らはロックダウン(都市封鎖)によって生じた前例のない状況を活用し、スポーツ界ではよく知られている「ホームアドバンテージ」という現象を詳細に分析する「自然実験」の機会を得た。

「ホームチームが有利である主要な、もしくは唯一の原因は、観客の存在だとするのが一般的な見方だ」と論文の筆頭著者であるドイツ体育大学ケルン(German Sports University Cologne)のファビアン・ウンダーリッヒ(Fabian Wunderlich)氏はAFPに語った。だが「私たちが観察した(観客の)影響は予想を下回った」と言う。ただし同論文は、観客の存在は審判の判定に影響を与えることも認めている。

 研究対象となったのは、2010-11シーズンから2019-20シーズンまでの6か国(スペイン、英イングランド、イタリア、ドイツ、ポルトガル、トルコ)の主要10リーグ。コロナ禍前に行われた3万5000以上の有観客試合と、1000以上の無観客試合を比較した。

 研究者らを驚かせたのは、無観客試合では得点や勝ち点を基準にしたホームアドバンテージに若干の減少が見られたものの、有観客の場合と比べて統計学的に有意な差がなかったことだ。

「有観客だった過去10シーズンの間、100試合あればホームチームが45勝、アウェーチームが28勝、残りの27試合が引き分け」という割合だった。これに対し「コロナ流行下の100試合では、ホームチームが43勝、アウェーチームが32勝、引き分けが25試合」だった。

 この違いは大きく見えるかもしれないが、過去数十年で観察されたホームアドバンテージの一般的な低下傾向と切り離して考えるには根拠が不十分だとウンダーリッヒ氏は指摘する。

 全体として本研究では、ホームアドバンテージ現象の別な要因に注目したと同氏は言う。例えば、ホームチームが自分たちの施設に感じる慣れや「縄張り意識」だ。自分の縄張りを守ろうとするとホルモン分泌が増えることは、動物行動学でよく知られている。

 アウェーチームの移動による負担もよく取り沙汰されるが、ウンダーリッヒ氏はさほど重視していない。別の研究で、ほとんど同一市内で試合をするドイツのアマチュアチームのコロナ流行前と以降の試合結果を分析したところ、はるかに移動が多いプロチームと比べて、ホームアドバンテージに関する差はなかったと言う。