【4月5日 AFP】(写真追加)台湾東部で特急列車がトラックに衝突し脱線した事故で、トラックを直前まで運転していた作業員は4日、涙ながらに謝罪を表明した。捜査当局は、列車の運転士は衝突に対応する時間がほぼなかったとみている。

 事故は2日、花蓮(Hualien)近郊のトンネルで発生。少なくとも50人が死亡、200人以上が負傷し、台湾で起きた鉄道事故としてここ数十年で最悪の事態となった。捜査当局によると、列車はトンネルに入る直前、急な斜面から線路内に転落したトラックに衝突した。

 作業員(49)は4日、報道陣を前に謝罪の声明を読み上げた。声を震わせながら「深く後悔しており、心からおわび申し上げたい」と述べ、「私が取るべき責任を取るため、警察や検察の捜査に協力する」と表明した。作業員は地滑りなどの危険について台湾東部の山岳地帯の鉄道路線を定期的に点検するチームの一人だった。

 台湾の国家運輸安全調査委員会(TTSB)主任委員の楊宏智(Hong Young)氏はAFPに対し、乗客の中には列車の警笛を聞いた人もいることから、列車の運転士は線路上の障害物を認識していたとみられると明らかにした。ただ、列車の運転士は衝突を回避することはできず、事故の犠牲となった。楊氏は「列車の運転士は反応するまでにせいぜい10秒しかなかった可能性があり、非常ブレーキをかけられるだけの距離がなかったとみられる」と指摘した。(c)AFP/Amber WANG