【4月4日 AFP】エジプトの首都カイロで3日、古代エジプト最強の女王を含む22人のファラオのミイラが、立派な装飾を施した車列によるパレードで移送された。

 ミイラは装飾された車両に乗せられ、厳重な警備の下、考古学博物館(Egyptian Museum)から新たな国立エジプト文明博物館(National Museum of Egyptian Civilization)まで、カイロ市内を7キロ移動した。

 パレードは「ファラオの黄金の行進(Pharaohs' Golden Parade)」と名付けられ、王18人、女王4人のミイラが、古代エジプト風の装飾を施した車両で1体ずつ、時代の古い順に並んで移送された。

 車列の先頭は、紀元前1600年ごろにエジプト南部を治め、勇敢な王として知られるセケンエンラー2世(Seqenenre Tao II)。最後尾は紀元前12世紀のラムセス9世(Ramses IX)だった。

 戦士として名高く在位が67年に及んだラムセス2世(Ramses II)、最強の女王と呼ばれるハトシェプスト(Hatshepsut)女王らのミイラも移送された。

 金色と黒色に塗られた車両には、それぞれの王の名前が書かれ、路面の凸凹による影響を防ぐために衝撃吸収材が取り付けられた。

 現在の博物館があるタハリール広場(Tahrir Square)とパレードの経路は歩行者、車両ともに通行止めとなった。

 ミイラは、予定されていたよりもやや短い約30分の移動で新しい博物館に到着し、21発の礼砲に迎えられた。

 今回の移送のためにカイロに滞在していた国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)のオードレ・アズレ(Audrey Azoulay)事務局長は、ミイラの「引っ越し」は、その保全と展示の状態を改善する多大な取り組みの仕上げに当たると説明し、パレードは、ミイラを「ただ移動させるよりも、はるかに強く感情を呼び起こす──人々はエジプト文明史をその目で見ることができる」と語った。

 国立エジプト文明博物館は2017年から限定的に展示を開始しており、4日から完全に開館する。ミイラの一般公開は2週間後になる予定。

 数か月後には、ギザ(Giza)のピラミッドの近くで大エジプト博物館(Grand Egyptian Museum)の開館も予定されている。(c)AFP/Emmanuel Parisse