【4月3日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は2日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)のファトゥ・ベンスダ(Fatou Bensouda)主任検察官に科していた制裁を解除した。バイデン政権は、前政権より協調的なアプローチで欧州諸国との意見の相違を乗り越えようとしている。

 ICCは昨年、アフガニスタンで米兵らが関与した疑いのある戦争犯罪について正式な捜査を始めた。これを受けてトランプ政権は、ベンスダ氏を金融制裁の対象に指定するとともに、米国ビザの発給を停止した。

 当時マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)前国務長官は「米国は国民がカンガルーコート(不当な裁判)に脅かされるのを見過ごすことはできない」と述べていた。

 ICCは、米国の同盟国でICC非加盟のイスラエルがパレスチナで関与した戦争犯罪の疑いのある事案も捜査している。

 ポンペオ氏の後任、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は、ICCのこれらの動きに米国はいまも強く反対しているとした一方、「これらの事案をめぐるわれわれの懸念は、制裁よりも、ICCによる捜査の全関係者との協議を通じて対処する方が良いと考えている」と述べた。

 バイデン氏は、制裁対象を指定したトランプ氏の大統領令を撤回し、ICCの司法管轄部門トップ、ファキソ・モチョチョコ(Phakiso Mochochoko)氏に対する制裁と、他のICC職員に対する米国ビザの発給停止措置も解除した。

 ベンスダ氏は6月に退任し、後任には英国の人権弁護士カリム・カーン(Karim Khan)氏が就任する。カーン氏は米国から制裁される心配をせずに主任検察官の仕事を始められることになった。(c)AFP/Shaun TANDON