■視聴者数は大リーグ以上

 T1は、リーグ・オブ・レジェンドの世界大会で3回優勝している。eスポーツ情報サイト「esportsearnings.com」によると、賞金総額は世界一となる710万ドル(約7億7000万円)に上る。

 2004年に韓国通信大手SKテレコム(SK Telecom)によって設立され、2年前に米メディア大手のコムキャスト(Comcast)の子会社コムキャスト・スペクタカー(Comcast Spectacor)との合弁企業になった。

 SKテレコムは今年2月、韓国プロ野球チームSKワイバーンズ(Sk Wyverns)を1億2200万ドル(約133億円)で売却。これからは「未来型のスポーツ」への投資を増やす方針を発表した。

 オーディエンス(視聴者数)に関して、eスポーツはプロスポーツの中でも最も成長が著しい。米金融大手ゴールドマンサックス(Goldman Sachs)の2018年の報告では、視聴者数ではすでに米大リーグ(MLB)を上回っている。2019年のリーグ・オブ・レジェンド世界大会のオンライン視聴者は1億人を超えた。

 eスポーツ業界の今年の収益は、ゲーム市場調査会社ニューズー(Newzoo)によれば、前年比約15%増の10億ドル(約1090億円)以上になると予想されており、このうち60%程度をスポンサーからの収入が占めるとみられている。

「eスポーツのオーディエンスは、伝統的なスポーツに比べて平均年齢がすごく若く、顧客層としての魅力が大きい」とニューズーのeスポーツ部門を統括するリーマー・リートケルク(Remer Rietkerk)氏はAFPに語った。

 T1のスポンサーにはナイキ、独高級車大手BMW、オーストリアの飲料メーカー・レッドブル(Red Bull)などがついている。昨年のリーグ・オブ・レジェンドの世界大会は、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やメルセデス・ベンツ(Mercedes Benz)など超有名ブランドも後援だった。

 eスポーツは、来年中国で開催されるアジア競技大会(Asian Games)で初めて正式なメダル種目として実施される。

 しかし、五輪種目としての採用を目指す取り組みは、昨年、国際オリンピック委員会(IOC)がeスポーツの国際統括団体を承認しなかったために頓挫。ゲームの知的所有権などの問題や、暴力や殺人を助長するゲームを認めないIOCのスタンスも障壁となっている。