【4月10日 AFP】密入国業者が操る小さなボートに乗って、12歳のオスカル君はメキシコからリオグランデ(Rio Grande)川を渡り、米テキサス州に着いたばかりだ。南米グアテマラからの1か月に及ぶ危険な旅を終えて涙を流し、腹をすかし、おびえている。

「ベンゴ・ソロ(一人で来ました)」。オスカル君がスペイン語で発した米国到着の第一声だ。

「何も食べるものがなかったので、こっちに来ました」と、やせ細った少年は茶褐色の大きな瞳でAFPに語る。

 就任から2か月以上がたったジョー・バイデン(Joe Biden)大統領にとって、メキシコ国境に押し寄せる移民の急増は最大課題の一つだ。

 バイデン氏率いる民主党政権発足以降、大人の同伴者がいない子どもや多くの家族が入国を許可されてきたが、政府や国境警備隊の収容施設には人があふれかえっている。

 オスカル君の希望は、ロサンゼルスに15年住んでいるペンキ職人のおじと再会することだ。グアテマラを出発する前に「ママに泣いちゃダメと言われたけど、泣いてしまいました」と、涙をこらえきれずに語った。

 一人息子のオスカル君を育てるシングルマザーの母親は、新型コロナウイルスの感染拡大で清掃作業員の職を失った。