■子どもは送還しない

 バイデン氏はトランプ氏の移民政策の多くを破棄する方向だが、国境を開放しているわけではないと主張する。正規の書類を持たない入国者のほとんどは直ちに国外退去させるとも述べている。

 ホワイトハウス(White House)のジェン・サキ(Jen Psaki)報道官はテレビ番組フォックス・ニュース・サンデー(Fox News Sunday)で「18歳未満の子どもたちを危険な旅に追い返すことはしない」と言明した。

 サキ氏は「それは、彼らが米国にとどまる許可を得たということではない」とも付け加えた。「われわれは彼らを人道的に扱い、それぞれのケースを審査する間、彼らに安全な場所を確保したい」

 コロナ禍で一時鈍化した米国への不法入国者数は、今年2月には10万人近くに上り、2019年半ばの水準に戻っている。うち単身で入国し、当局に身を預けた未成年者は前月比28%増の9400人以上だった。当局はさらに増加が続くと予想する。

 米国側に入ってすぐにAFPのインタビューに応じた十数人の移民希望者は、貧困や暴力、失業が主な理由で国を離れたと語った。コロナの感染拡大と最近彼らの国を襲ったハリケーンがそれに輪をかけた。

 何年も別れたままの親との再会を夢見る少年少女も多い。グアテマラから来たディエゴさん(17)は、携帯電話を借りて、生後わずか1か月のときに彼を残したまま米国に去った母親に電話をかけることができた。

「母は泣きだしました。僕もです。17年も会っていなかったから」と言った。「心の中に大きな穴がある気がします。もう一度、母の愛でその穴を埋めたいです」 (c)AFP/Laura BONILLA CAL