■持続可能性への呼び掛け

 今回の研究では、除草剤59種、殺虫剤21種、殺菌剤19種を調査。米地質調査所(USGS)のデータと国連食糧農業機関(FAO)の国別データから導き出した農薬散布率の推定値を数理モデルに入力し、環境に残存している可能性のある農薬の量を推定した。

 1種類以上の農薬成分の残留量が、何の影響も生じないと考えられる濃度の1000倍以上と推定される場合、その地域は危険性が高いと判断した。

 危険性が高い土地の面積が最大なのはアジアで、約490万平方キロに及んでおり、うち中国が約290万平方キロを占めていた。欧州ではロシア、ウクライナ、スペインで汚染の推定値が高く、農耕地の62%近く(約230万平方キロ)が農薬汚染の危険性の高い状態にあると、研究チームは指摘している。

 研究では、環境の種類(土壌、地表水、地下水、大気)別にもリスクを分析した。

 この中で最も影響を受けやすいのは地表水で、その理由は流出によって汚染される可能性があるからだとタン氏は説明した。

 農薬使用量の低減や食品廃棄物の削減など「持続可能な農業と持続可能な生活」に移行するための世界戦略の必要性を、研究は訴えている。 (c)AFP/Kelly MACNAMARA