【3月30日 AFP】米スポーツ用品大手ナイキ(Nike)は29日、同社のスニーカーを改造した「サタン・シューズ(Satan Shoes)」をめぐり、米ラッパーのリル・ナズ・X(Lil Nas X)さん(21)とコラボレーションし製作した企業を、商標権侵害で提訴した。

 グラミー賞(Grammy Awards)の受賞歴があるリル・ナズ・Xさんとコラボしたのは、米ニューヨークを拠点とするMSCHFプロダクト・スタジオ(MSCHF Product Studio)。

 サタン・シューズは、ナイキの黒のエアマックス97(Air Max 97)をカスタマイズしたもので、ペンタグラムのペンダントヘッドと、サタンが天から落ちたと書かれている聖書の一節があしらわれ、赤いミッドソールには人間の血が1滴混ぜられている。

 1足1018ドル(約11万円)で29日に発売されると、全666足が即座に完売した。

 ナイキは、商標権侵害とブランドを毀損(きそん)したとして、MSCHFを連邦裁判所に提訴した。同社はAFPに対し「サタン・シューズはナイキの承認や許可を得ずに製作されたものであり、ナイキは今回の企画と一切関係はない」と説明した。

 裁判所に提出された文書でナイキは、サタン・シューズにナイキのロゴが入っているため、同社が関与していると誤解した消費者が不買運動を呼び掛ける事態になっているとしている。

 MSCHFプロダクト・スタジオは先に、白のエアマックス97のソールに聖水を入れた「ジーザス・シューズ(Jesus Shoes)」を発売していた。ナイキは、ジーザス・シューズに対しては、訴訟を起こしていない。

 リル・ナズ・Xさんは「サタン・シューズ」の販売に先立ち発表した新曲「Montero(Call Me By Your Name)」のミュージックビデオで、同性愛と悪魔を取り上げ、保守派から強い反発を受けた。(c)AFP