【3月30日 AFP】国際自動車連盟(FIA)のレースディレクターを務めるマイケル・マシ(Michael Masi)氏は29日、劇的な幕切れとなった21F1開幕戦バーレーンGP(Bahrain Grand Prix 2021)の終盤で、レッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)がメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)を追い抜く際に、トラックリミットを超えたとしてペナルティーを科した自身のルール適用について釈明した。

 28日に行われた決勝レースで、トップを走行中のフェルスタッペンが順位を譲るように指示されたのは矛盾があるとのさまざまな指摘に関して、マシ氏は同選手のマシンがターン4で白線を越えていたことだけでなく、コースを外れたことによって「アドバンテージを得た」ためと説明した。

 一方、昨季の年間王者であるハミルトンが、同じようにターン4でワイドに外れる場面が何度もありながらペナルティーを逃れたのは、この走行によって持続的なアドバンテージを得ていなかったためと強調した。

 また、「レース中にトラックリミットを外れて走行した場合の許容範囲については、(ドライバーズ)会議や文書で非常に明確に示されており、いわゆるラップタイムに関しては監視の対象外となっている。しかし、競技規則では総合的な持続的アドバンテージは得てはならないことになっており、常にモニターされる」とすると、「今回のレースでも何ら変更はなかった」と述べた。

 さらに、オーバーテークの際にマシンがコースを外れて持続的なアドバンテージを得ていた場合は、そのチームに対して無線でただちに現在の順位を放棄するように伝えると話し、今回に関しても、「レッドブルはすぐに、競技規則の記載に従ってポジションを放棄するように提案する私からの指示を受け、そのようにした。(ペナルティーは)トラックリミットを超えていたためでなく、コースを外れて他のマシンをオーバーテークしたことによって、持続的なアドバンテージを得たためだ」と語った。

 ハミルトンはレース中、ターン4で何度も大きくコースを外れていると警告され、かなり慎重に反応していた。メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフ(Toto Wolff)氏は、レースディレクターからのメッセージは明確で一貫性があるものでなければならないと主張し、「最初はトラックリミットに関して制裁を受けないということだったのに、レース中にはこのままワイドに走り続ければアドバンテージを模索しているとみなされ、ペナルティーの可能性があると言われた」と明かした。

「この決定が実質的に、われわれにレースの勝利をもたらした。レースディレクターの定義では、マックスはワイドに走ってアドバンテージを得たということだ。彼はポジションを返上し、その結果われわれの勝利が確定した」 (c)AFP