【3月30日 CNS】中国・安徽省(Anhui)合肥市(Hefei)長臨河鎮(Changlinhe)に住む73歳の李業炳(Li Yebing)さんは昨年、漁師から森林警備員に転職した。

 中国五大淡水湖の一つ、巣湖近くに暮らす李さんは10代から漁をしていたが、水質汚染や乱獲の影響で長江の漁獲量が激減したため、政府は今年1月から10年間、生態系回復のため長江全域の禁漁を決定。長江の重要水系である巣湖は1年先行して昨年1月から全面禁漁となった。

「私たち漁師は最初、本当に理解ができませんでした。先祖代々ここで漁をしてきたので、突然仕事を変えてといわれても本当に困りました」と振り返る李さん。その後、政府から船1隻に28万元(約466万円)の賠償金を受け取り、就職のあっせんや職業訓練も受けた。李さんは森林警備員として働くようになり、3人の息子たちも職業訓練を受けて他の地方で働いている。「政府の説明で環境を守る大切さが分かったし、職業訓練や生活手当などの支援も受けた。私たち元漁師は、今では禁漁措置に賛成しています」と受け入れる。

 同じ長臨河鎮の元漁師、呉前勇(Wu Qianyong)さん一家は2階建ての古い家を民宿に切り替え、インターネット上で評判となっている。呉さんは「水質汚染の影響で巣湖は藻が大量発生するようになっていた。禁漁は環境にプラスになるだろうから、わが家は納得しました。民宿を始めたことも良かった」と話した。

 農業農村部によると、長江の全面禁漁で漁船11万1000隻が使われなくなり、転職した漁師は23万1000人に上るという。(c)CNS/JCM/AFPBB News