【3月29日 Xinhua News】中国国家文物局はこのほど、四川省(Sichuan)広漢市(Guanghan)の三星堆(さんせいたい、Sanxingdui)遺跡から約3千年前に同省一帯で栄えた古蜀国の祭祀(さいし)坑6基が見つかり、重要な遺物が大量に出土したと発表した。同遺跡は再び大きな話題を呼び、社会の注目を集めている。

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 中国で最初に考古学教育・研究機関が設立された北京大学(Peking University)はこのほど、大学の考古学チームが担当する同遺跡8号祭祀坑の発掘作業が順調に進み、坑内の盛り土の発掘から埋蔵層の整理に移っていると明らかにした。専門家は、今後新たな発見が相次ぐとの見方を示している。

 三星堆祭祀坑発掘の学術顧問を務める北京大学考古文博学院の孫華(Sun Hua)教授は「事前段階で地中レーダーと高感度金属探知機を使ったところ、8号祭祀坑の下部に高濃度の金属が大量に堆積していること分かった。主に青銅製の祭祀用具と推定できる」と語った。

 今回新たに見つかった祭祀坑6基は、1986年に見つかった1号祭祀坑、2号祭祀坑の隣にあり、長方形で大きさは3・5〜19平方メートルだった。専門家は、8基の祭祀坑が全体で一つの区域を構成しており、古蜀王国の祭祀の場所だったとの見方を示した。

 8号祭祀坑の発掘作業は昨年12月に始まり、四川省文物考古研究所や北京大学など複数の研究機関や大学が共同参加している。

 同坑は三星堆遺跡の南西部にあり、坑口は長さ5・1メートル、幅3・8メートル、面積約19平方メートルと、これまで見つかった祭祀坑の中で最も面積が大きい。3月20日現在、坑上部の盛り土の除去はほぼ完了し、大部分で祭祀坑を埋めた時に形成された灰燼(かいじん)の堆積層が露出しており、下にある器物層も露出し始めている場所もある。

 現在の発掘状況によると、8号祭祀坑の上部の埋土は黄色と黒褐色の突き固めた土で、厚さは50〜80センチ。この層の下には、大量の炭くずや焼骨灰、紅焼土を含む破片が堆積しており、少量の金箔片と銅スラグも含んでいる。

 8号祭祀坑の灰燼層の下は器物層となっており、同坑の北西角や坑の端に近い場所からは、器物の堆積が露出し始めている。坑口から約1・4メートル離れた場所からは中小の青銅器や玉器が集まっているのが見つかったほか、玉戈や石戈計8点も出土した。うち一つは長さ約35センチ、幅10センチで、このような大型の儀礼用具は非常に珍しい。

 同坑には、建築構造に関連する可能性がある遺物が多く見つかるという特殊な堆積状況も見られた。考古学チームは、これらの遺物が大きく3種類に分かれると説明。一つ目は大きな紅焼土の塊で、体積の大きさから、もともと建物の壁などだったと考えられ、後に好気条件下で焼かれ、鉄元素が酸化して赤くなった可能性がある。

 二つ目は炭化した木材で、考古学チームが8号祭祀坑内で見つけたが、その断面はほぼ円形で、現存する直径は約12センチ、露出した木材の長さは約40センチだった。この円形の木材はほぼ真っすぐで、建物の柱や梁の一部だった可能性があるほか、三星堆から数多く出土した青銅人頭像の胴体部分ではないかとも推測されている。

 三つ目は同坑の北西角で見つかったばかりの石板の破片で、建物に関係があると思われる。表面を細かく処理し、非常に平らにした石板もあり、大きいものは長さ約30センチ、幅約25センチ、厚さ約1・5センチにもなる。

 孫氏は、今後も8号祭祀坑での考古学活動が続く予定で、チームにとって器物層の整理が今後の重要作業になると説明。現在の進展状況を踏まえ、来月末ごろまでに主要な器物堆積層の整理を進めるとの見通しを示した。(c)Xinhua News/AFPBB News