【3月26日 Xinhua News】中国国家文物局が20日に発表した四川省(Sichuan)広漢市(Guanghan)の三星堆(さんせいたい、Sanxingdui)遺跡での新発見は、人々の目を再びこの神秘の地へ向けた。

 1986年に1号祭祀(さいし)坑と2号祭祀坑が相次ぎ発見されて以来、三星堆に関する議論はやむことがない。祭祀坑から出土した大量の神秘的な文化財は、さらに人々の臆測を呼んだ。三星堆に関する伝説は多々あり、中には荒唐無稽と思われるものもあるが、ひとまず専門家の意見を聞いてみよう。

 ▽伝説その一:三星堆は異星人の文明なのか

 巨大な耳、前方に大きく突き出た目、耳のつけ根まである大きな口…。ネットユーザーの中には、三星堆が異星人の文明であり、三星堆の奇妙な青銅大仮面、青銅大立人像、青銅神樹などは異星人の作品だと考える人がいる。

 専門家はこうした説をきっぱり否定する。三星堆に代表される古蜀文明は多元一体式の中華文明の重要な一部であり、出土した青銅尊や青銅罍(らい)、玉璋、玉琮(ぎょくそう)、玉璧、玉戈(ぎょくが)などは黄河流域と一致し、三星堆が中華文化と共通する属性を持つことを示している。よく知られる青銅立人像や青銅神樹、青銅縦目仮面などの独特な造形を持つ気宇壮大な文化財は、古蜀文明の燦然たる輝きだけでなく、中華文化の豊かさと多様性をも示している。三星堆文明は生粋の「中国産」であり、異星人とは関係がない。

 ▽伝説その二:三星堆の人々は金沙に「引っ越し」したのか

 三星堆で新たに発見された黄金の仮面は驚くべき美しさで、目ざといネットユーザーは、成都市(Chengdu)青羊区にある商周時代の遺跡、金沙遺跡の黄金仮面と同じ様式だと一目で見抜いた。黄金の仮面だけでなく、金沙の金冠帯と三星堆の金杖に施された文様、玉璋、玉鑿、象牙など二つの遺跡の文化財には類似点が少なくない。三星堆の人々は金沙に「引っ越し」をしたとみなしていいのだろうか。

 専門家は次のようにみる。金沙遺跡と三星堆遺跡の一部の文化財にみられる高度の相似性は、両者が同一の文化系統に属し、二つの遺跡の間に必然的にある種の特別なつながりがあったことを証明している。近年の考古学成果と結びつけて考えると、金沙文化はまさに三星堆文化の継承と発展であり、両者は共に古蜀文明の発展の系譜における重要な構成部分だといえる。

 ▽伝説その三:三星堆からなぜ「アングリーバード」のキャラクターが出土したのか。

 四川省文物考古研究院は昨年7月、三星堆周辺で重要な遺跡「聯合遺跡」が見つかり、大量の遺物が出土したと発表した。中でも、かわいらしい豚型土器、モバイルゲームでアニメ化もされた「アングリーバード」に登場する敵役のブタ「ミニオンピッグ」とそっくりで、ネットユーザーの間で「アングリーバード」の前身ではないかと驚きの声が上がった。

 専門家は、聯合遺跡が三星堆古城遺跡周辺の重要集落の一つだった可能性を指摘する。広漢市南豊鎮聯合村で見つかった同遺跡は、桂園橋、宝墩(ほうとん)、三星堆、十二橋の各遺跡が持つ四つの文化要素を含んでおり、三星堆周辺で初めて見つかった古蜀文明の完全な序列をもつ遺跡とされる。中でも三星堆の主要な文化要素は聯合遺跡でも多く見ることができ、三星堆と類似性のある遺物が大量に出土した。

 同遺跡では「ミニオンピッグ」だけでなく、大量の高柄豆、鏤空圏足豆(盤)、小平底罐(豆と盤は盛食器、罐は水がめ)などが出土し、復原されている。中でも陰刻で竜と鳳凰を彫った土器の年代は商(殷)代後期とされ、中国でこれまで発見された「竜鳳呈祥」図案(竜と鳳凰を対に描いた図案)を持つ土器の中で最古のものに当たるという。

 ▽伝説その四:大型青銅立人像が手に持っていたのは自撮り棒?

 三星堆で出土した多くの青銅像の中でも「大型青銅立人像」は特に知名度が高い。重厚で厳粛な雰囲気を持ち、両手には何かを持っていたような空洞がある。多くの人が長い間、握られていたのは法器ではないかと考えてきたが、ネットユーザーの一部には「自撮り棒」ではないかとの冗談もささやかれている。

 学界では現在、この問題についての定説はない。専門家の議論では象牙や、王笏(おうしゃく、君主の装飾杖)の可能性があるとされている。立人像の本体は頭に高冠を戴き、筒袖と半袖の3枚重ね着をしている。衣服には竜文を中心に鳥文、虫文、目文などをあしらった複雑で華麗な文様があり、方形文の帯飾りを付けていることから、神に通じる特別な能力を持った古蜀の「大祭司」ではないかと考えられている。

 三星堆文明に関する謎は尽きることがない。考古学関係者がこれまでに見つけた六つの祭祀坑からは、重要な遺物500点余りが出土している。これらの遺物の調査や分析を通じて、より多くの謎が解明されると信じる。3千年間地下に眠っていた古文明の真の姿も一層鮮明になるだろう。(c)Xinhua News/AFPBB News