【3月26日 AFP】新型コロナウイルス変異株の感染者が急増しているハンガリーで、直近1週間の人口当たり死亡率が世界最高を記録したことが25日、AFPの集計で明らかになった。医療機関の逼迫(ひっぱく)度もかつてなく上昇している。

 人口980万人のハンガリーではこの1週間で死者数が41%超増加し、25日には過去最多の272人が死亡した。人口10万人当たりの直近7日間の平均死亡率は世界最高の15.7で、チェコ(12.7)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(12)、スロバキア(10.5)、ブルガリア(10.5)を大きく上回っている。

 ハンガリーでは2月から感染力のより強い英国型の変異株が流行し始め、感染者数が急増。政府統計に基づく25日の新規感染者数は9637人だった。入院患者数は約1万2000人で、うち約1500人が人工呼吸器を使用している。

 専門家によると、現在は新規感染者数の80~90%を英国型の変異株が占めており、新型コロナ関連の入院件数は4月にピークを迎えると予想される。

 ハンガリー医師会議所(MOK)は今週、医療現場では病床も人手も不足しつつあると警鐘を鳴らした。MOK関係者は、1年前に欧州で最初の感染拡大が起きたイタリア北部ベルガモ(Bergamo)と同様の医療崩壊が起きる恐れがあると指摘している。

 報道機関には医療機関への立ち入りを認められていないが、医療従事者らは地元メディアに逼迫した状況を訴えている。

 ハンガリーは、欧州連合(EU)域内でワクチン接種率が2番目に高い。EUが供給する欧米製ワクチンに加え、中国医薬集団(シノファーム、Sinopharm)製ワクチンやロシアの「スプートニクV(Sputnik V)」が既に使用されているほか、今週には新たに中国製とインド製のワクチン2種が承認された。

 グヤーシュ・ゲルゲイ(Gulyas Gergely)首相府長官は25日、総人口の18%以上に相当する約170万人がワクチン接種を受け、うち50万人以上が既に2回目の接種を終えたことを明らかにした。(c)AFP