【3月31日 AFP】ビデオゲームは芸術作品か、それとも単なるコンピューター製品か。フランスでは新たに始まった限定的なロックダウン(都市封鎖)をめぐる混乱の中、このおなじみの論争が再燃している。

 今月20日からパリを含む16地域で新たなロックダウンを開始したフランスは、書店やレコード店を必要不可欠な業種のリストに加え、営業継続を許可した。長らく文化のとりでを自負してきた国ならではと言えよう。

 ならば、ビデオゲーム販売店はどうか。ビデオゲームはフランスでもすでに巨大ビジネスと化し、新型コロナウイルスの流行で多くの人が外出を控える中、人気が急上昇している。

 閣僚間の協議を経て仏政府は20日、「コンピューター、周辺機器、およびソフトウエアの専門店での小売り販売」を許可すると発表した。

 だが、週明けの22日、開店時間になっても、一部のビデオゲーム店の経営者や従業員は新規則をのみ込めずにいた。

 パリ中心部に店を持つウーリ・ザゴーリー(Ouri Zagoury)さんは、オンラインでゲームを購入して引き取りに来た客、もしくは修理が必要なゲーム機を預けに来た客だけに店を開けた。「店内に入れないし、その場で支払いをお願いすることさえしません」

■「文化財の一種」

 近くにある別の店の販売員は、営業継続を許可される店舗にビデオゲーム店が加わったことを、ニュースを読んだガールフレンドから聞いた。「今回の再封鎖は何が何だか分かりません」と、この販売員はこぼした。

 新規則の解釈に悩まされているのは、個人営業の店だけではない。仏総合小売りチェーンのフナック(FNAC)も当初、躊躇(ちゅうちょ)していた。

 ユーチューブ(YouTube)のビデオゲームアナリスト、ジュリアン・シェーズ(Julien Chieze)さんは、フナックの各店舗のビデオゲームコーナーが週末に閉まっていたとツイートしていた。

 しかし、フナック幹部のオリビエ・ガルシア(Olivier Garcia)氏は22日、政令を引用しながらシェーズさんのツイートに応じ、ゲームコーナーはすでに再開していると述べた。

 フランス小売業連盟(FCD)のジャック・クレイセル(Jacques Creyssel)氏は「確かに、今までビデオゲームの件については若干、不明な点がありました」と認めた。

 シェーズさんは政府の決定を歓迎し、「まさしく、ビデオゲームは書籍やレコードと同じように文化財の一種」だと喜んだ。