【3月26日 AFP】インド政府は、国内での新型コロナウイルス感染者の急増とワクチン接種の滞りを受け、ワクチンの輸出を制限した。

 医薬品の一大生産国で、「世界の薬局」とも呼ばれるインドは、途上国などへの公平なワクチン分配を目指す世界保健機関(WHO)とGaviワクチンアライアンス(Gavi, the Vaccine Alliance)主導の国際枠組み「コバックス(COVAX)」の主要供給元でもある。今回の輸出制限により、途上国での接種計画に大きな影響が出そうだ。

 インドはこれまで76か国に6000万回分を超えるワクチンを輸出。大半が世界最大のメーカー、インド血清研究所(Serum Institute of India)で製造された英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)のワクチンだ。

 インド外務省のデータによると、最後にワクチンが輸出されたのは今月18日。Gaviは25日、3~4月に予定されていた残りのワクチン供給は「インド国内でのワクチン需要増」により「遅れに直面するだろう」と述べた。一方、インド政府関係者は同日夜、「他の多くの国とは異なり、ワクチンの輸出は禁止していない」と語った。

 インド血清研究所は今のところコメントを出していない。業界関係者は「遅れの解消にどれくらい時間がかかるかははっきりしない」と説明。Gaviの広報担当者は「可能な限り迅速に供給できるよう、インド政府と協議中だ」と述べた。

 インド保健省が25日発表したデータによると、国内では過去24時間の新規感染者が昨年10月以降で最多の約5万4000人に上った。これまでに約1200万人が感染している。国内で行われたワクチン接種回数は5300万回で、ワクチン輸出量を下回っている。(c)AFP