【3月26日 AFP】オーストラリア南西部で、推定体重40キロながらも樹上生活に適応するという謎の進化を遂げたカンガルーのほぼ完全な化石が見つかった。古生物学者らをさらに驚かせたのは、この化石が「木のない平原」と呼ばれる場所で見つかったことだった。

 Congruus kitcheneriという学名が付けられたこの絶滅種に関する論文は24日、英学術誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に掲載された。

 化石が見つかったのは、ナラボー平原(Nullarbor Plain)。ナラボーはラテン語で「木がない」という意味だ。一帯は、この木登りカンガルーが生きていた約5万年前も、現在同様高木の生えていない平野だったと考えられてきた。

 パース(Perth)にあるマードック大学(Murdoch University)のナタリー・ウォーバートン(Natalie Warburton)研究員は、今回の発見について「5万~10万年前の一帯の環境は、現在の姿とも、また恐らくは地質学的、植物学的な根拠に基づくわれわれの解釈からも、大きく異なっていたことを示している」と述べた。

 この個体の体重は約40キロと考えられており、これほど体の大きい動物が木に登るようになった理由は不明。

 ウォーバートン氏は「木登りには、体を持ち上げるために多くのエネルギーと強い筋肉が必要だったはず」であり、「木の上は、その労力に見合うだけの格好の餌場だったにちがいない」との見方を示した。(c)AFP/Marlowe HOOD