【3月25日 AFP】半自動小銃AR15と防弾チョッキを装備した「ミネソタ・フリーダム・ファイターズ(MNFF)」は、地元警察とアフリカ系米国人コミュニティーの「懸け橋」を自認する黒人自警団だ。米ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で昨年、黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが白人警官に首を膝で9分近く押さえつけられて窒息死した事件をきっかけに結成された。

「私たちも武器を手にして同胞を守ることができ、信頼に値するということを、世界に示そうとしている」と、メンバーのランディ・クリスマン(Randy Chrisman)さん(30)は言う。「つまり、武器を所持している黒人に対する見方を変えたい」

 昨年5月のフロイドさんの事件後、ミネアポリスでは数週間にわたり人種差別に抗議するデモが続いた。暴動や略奪も相次ぎ、中心街にある多くの商店と所轄警察署が破壊された。

 MNFFはフェイスブック(Facebook)公式ページに掲げた行動理念で、「ミネアポリス市街地の市民と企業を守るために尽力する精鋭治安部隊」を名乗り、「私たちの目的は警察になることではなく、警察と黒人社会をつなぐ懸け橋になることだ」と主張している。

「銃を持っているという理由でギャングの構成員だと思われることに、うんざりしている」と語るクリスマンさんは、介護職に就く2児の父だ。「肌の色のせいで敵視されることにも、嫌気が差している」

 フロイドさんの事件で、「黒人社会を守らなければならない」と自覚したとクリスマンさんは話した。「白人至上主義者がやって来て、黒人社会全体をめちゃくちゃにしようとしていると訴える電話がかかってくるようになった。連中は店に火を付け、窓を割ろうとしている。黒人社会全体の破壊をもくろんでいる」

 MNFFは、地元の事業者を守るよう住民に協力を求める人権擁護団体「全米黒人地位向上協会(NAACP)」ミネアポリス支部の呼び掛けに応じて結成された。街をパトロールし、フロイドさんの追悼イベントや人種差別反対デモなどで警備を担っている。

 クリスマンさんの他20人のメンバーが銃所持許可証を持っている。メンバーは25~55歳で、職業はさまざま。トラック運転手もいれば、バスケットボールのコーチや不動産業者もいる。

 メンバーは有酸素運動、武術修練、射撃練習、戦闘訓練などを行い、緊迫した状況を和ませるテクニックにも精通している。クリスマンさんは、「私たちはむやみに発砲しない。誰だって銃なんて撃ちたくない」と述べ、MNFFのメンバーが銃を持っていることが「抑止力」になっており、責任を持って行動すると黒人社会に信用されていると説明した。

 MNFFは、警察との関係も良好だとしている。AFPは地元警察にMNFFに関するコメントを求めたが、回答は得られなかった。(c)AFP/Kerem Yucel and Charlotte Plantive in Washington