■以前はばかにされ、今は尊敬されるように

 とはいえ、起業家としてのハディさんの道のりは険しいものだった。

 コンクリートの壁に囲まれた小さな発電所が位置するのは、反政府勢力と政府軍との戦闘がたびたび発生する前線地域だ。しかも、農村社会では女性が家庭の外で働くことが受け入れられていない。

「試練はたくさんありました。この種の仕事は男性がやるものと思い込んでいる家族や地元の社会からは笑われ、反対されました」とハディさんは言う。「でも私たちはこうした困難に粘り強く対処してきました。ばかにされていましたが、今では女性たちは感謝され、尊敬されるようになりました」

 ハディさんの事業は、気候変動と闘う人々をたたえる「アシュデン賞(Ashden Awards)」(人道支援のためのエネルギー部門)を獲得している。国連開発計画(UNDP)は、同事業を現3か所から全国100か所に拡大する取り組みを行っている。ハディさんは、英BBCによる2020年の「世界で最も影響力のある女性100人」の一人にも選ばれている。

 ハディさんの長期計画は、地元地域の3060全世帯に太陽光発電の供給を広げることだ。「この国の全ての女性に対する私のメッセージは、立ち上がり外に出て、自分の夢を実現しようということです」とハディさんは語った。(c)AFP/correspondents in Sanaa with Mohamad Ali Harissi in Dubai