【3月23日 People’s Daily】中国国家林業草原局、農業農村省は今年2月、新たに調整された「国家重点保護野生動物リスト」(以下、「リスト」という)を共同発表した。

 今回新たに調整された「リスト」では、国が重点的に保護する野生動物の範囲が大きく拡大した。このデータからは変化の大きさがうかがえる。

 もとの「リスト」のすべての種を残した上で、517種 (類)の野生動物を新たに追加し、もとの保護された種の総量から更に多くなった。

 アカオオカミ、長江スナメリなど65種の野生動物を国家二級保護野生動物から国家一級に昇格させた。アッサムモンキー、シベリアアイベックス、ニシキヘビの3種の野生動物は国家一級保護野生動物から国家二級に調整された。

 新「リスト」は野生動物の計988種 (類)を含んでいる。その中には、国家一級保護野生動物234種と1類、国家二級保護野生動物746種と7類がある。

 新「リスト」はなぜこれほど多くの種を追加したのか。東北林業大学(Northeast Forestry University)野生動物・自然保護地学院の張偉(Zhang Wei)教授は以下のように指摘した。中国は生物多様性保護を強化し続け、種の保護能力の強化が進み、より多くの種を重点保護範囲にとり入れる能力を有している。近年、中国は国家公園を主体とする自然保護システムの建設を加速させている。各種の自然保護地の総数は1万1800か所に達し、陸域の国土面積の18%を占め、90%の植生タイプと陸地生態システム、また85%の重点保護野生動物個体群を効果的に保護している。同時に、絶滅危惧野生動物の保護を絶えず強化し、300種類の絶滅危惧野生動物のために安定した人工繁殖個体群を構築している。そのほか、分類学が発展するにつれ、動物の分類システムが多く変わった。「リスト」の調整はこの重要な変化を考慮したもので、保護範囲対象となる種の増加にもつながる。

 国家重点保護範囲対象となり、保護レベルが引き上げられることは、種の保護への注力度も顕著に向上することを意味する。種の保護活動が強化されるにつれ、保護プロジェクトと経費の投入も増える。これは種と生息地の漸進的な回復にとって重要な意味を持っている。

「今回の調整も、中国が近年に新発見した、新分布記録がある、貴重な種と絶滅危惧種を調整対象にした時宜にかなったものだ」と、北京林業大学(Beijing Forestry University)野生動物研究所の所長兼生態・自然保護学院の時坤(Shi Kun)教授は語った。時教授によると、カオシロアカゲザル、ナマケグマ、アカスマトラカモシカなどの種は、西南地区で小さな個体群あるいは辺縁性分布を呈し、重要な生態系機能を持っているため、重点的に保護すべきだ。「また、アッサムモンキー、シベリアアイベックス、ニシキヘビの個体群は安定していて、広く分布しているので、保護レベルを下げた。この調整は、保護活動の効果を反映したもので、科学的評価に基づく結論でもある」と言う。

「リスト」は大幅に調整された。野生動物の保護に対する要求はさらに高まっていることに疑いはない。(c)People’s Daily/AFPBB News