【3月23日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)のロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)は22日、チームの伝説的選手の一人として広く知られるエルジン・ベイラー(Elgin Baylor)氏が同日死去したことを明らかにした。86歳だった。妻のエレイン(Elaine)さんと娘のクリスタル(Krystal)さんに囲まれ、静かに息を引き取ったという。

 通算11度のオールスター選出を誇り、1958年から1971年まで14シーズンにわたりレイカーズの大きな原動力として活躍した殿堂入り選手のベイラー氏は、1958年のドラフトで当時ミネアポリス(Minneapolis)が本拠地だったレイカーズから全体1位指名を受けた。

 身長196センチのスモールフォワードだった同氏は即座に頭角を現し、1年目に1試合平均24.9得点、15リバウンド、4.1アシストを記録して新人王を獲得。キャリア通算では計2万3149得点(平均27.4)、計1万1463リバウンド(同13.5)、計3650アシスト(同4.3)の成績をマークした。

 1960年代にはチームの中心選手としてレイカーズを強豪に押し上げながらも王座とは無縁で、ファイナルではボストン・セルティックス(Boston Celtics)と最終第7戦まで戦った3シリーズを含め、計8回出場していずれも敗れ去っている。しかし、1962年のシリーズではセルティックスを相手に61得点を挙げ、これは一人の選手がNBAファイナルで稼いだ1試合の得点としては歴代1位の記録となっている。

 レイカーズは1971-72シーズンにようやくファイナル制覇を果たしたが、運命の皮肉にも、それはベイラー氏がけがで9試合の出場にとどまり現役を退いた後のことだった。同氏はチームへの貢献が認められて優勝リングを授与されたものの、2013年には13万2000ドル(約1400万円)で売却している。

 本拠地ステープルズ・センター(Staples Center)では、同氏の功績をたたえて永久欠番となっている背番号22のユニホームが掲げられているほか、2018年にはアリーナの外に銅像が建てられた。

 現役時代にレイカーズでプレーしたレジェンドたちはこの日、ベイラー氏に哀悼の意を表している。

 マジック・ジョンソン(Magic Johnson)氏は、バスケットボール界の先駆者として同氏の才能をたたえ、「マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)が空中で信じられないようなプレーをする前には、エルジン・ベイラーがいた! 彼はまさに一流であり、偉大な人物だ」とツイート。同氏とは11シーズン一緒にプレーしたジェリー・ウェスト(Jerry West)氏も、「素晴らしい人間」だったと死を悼んだ。

 ベイラー氏は現役引退後もNBAにとどまり、1974年から1979年までニューオーリンズ・ジャズ(New Orleans Jazz、現ユタ・ジャズ<Utah Jazz>)で指導者を務めたほか、1986年には球団副社長としてロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)に加入し、2008年に辞任するまで同チームに在籍した。(c)AFP