【3月22日 東方新報】日本、中国、米国・サイパン(Saipan)の小中高校生がインターネットを通じて交流する「ジュニア・グローバル・フォーラム」が16日、開催された。コロナ禍においても国際交流を進める新たな取り組みで、「Withコロナ時代・世界と話す僕らの未来」をテーマに、お互いの思いを伝え合った。

 一般社団法人「アジア太平洋教育イノベーション連合会」と、公益財団法人「国際青少年研修協会」が共催し、日本からは茨城県境町の静小学校、鹿児島県宇検(うけん)村の久志小中学校、栃木県宇都宮市の宇都宮海星女子学院中学・高校の児童、生徒が参加。中国からは北京市、武漢市(Wuhan)、ハルビン市(Harbin)など6校の生徒代表、サイパン島からは高校3校の6人が参加した。

 フォーラムの冒頭、連合会代表理事でフォーラム実行委員長の遠藤乙彦(Otohiko Endo)さんが「若い皆さんが今起きている事から学び、経験をグローバルに共有して新鮮な発想と対話をすることが、より良い未来を創る原動力になる」とあいさつ。フォーラムは2部構成で、第1部は参加者が事前に作製したビデオ映像を放映した。第2部では、フォーラムを後援する東方インターナショナル(Toho International)の会議室に集まった主催者メンバーと各地の子どもたちをオンラインでつなぎ、質疑応答が行われた。獣医学の病理研究で国際的に知られる麻布大学(Azabu University)の山下匡(Tadashi Yamashita)教授が司会進行役を務め、通訳も交えて英語で進められた。

 子どもたちの発言や考え方には、各国の新型コロナウイルスの感染状況が反映されていた。収束が見えない日本の児童、生徒は、学校や生活上の不自由さに悩む本音を漏らした。全国的に新型コロナを収束させた中国の生徒は「災厄を振り返って」という視点で、当時は何を考え、その後に何が変わったのかを整理した発言が目立った。

 サイパンの高校生は年齢に応じて落ち着いた話しぶりだったが、サイパンは島外との往来を遮断してコロナ感染者をゼロに保っており、外部と遮断された生活に閉そく感もあるという。観光地のサイパンで仕事探しは容易ではないようで、今後の就職を気にする発言もあった。

 一方で、各国の子どもたちに共通した発言も多かった。「コロナが終わったら旅行したい。海外にも行きたい」「家庭の時間が増え、家族の絆が深まった」「友達や先生と会えることのありがたさがあらためて分かった」と口をそろえていた。

 また、「withコロナ」の生活様式に対応して、「オンラインのやりとりが予想以上に便利なことが分かった」「新しいコミュニケーション方法に慣れた」「自分で考え自分で決める習慣が付いた」という発言も多かった。日本や中国の子どもからは「家事手伝いの習慣が付いた」「自己管理や健康に注意するようになった」など、親が聞けば喜ぶような発言も。3か国の子どもたちは共通して明るく、大人が考えるよりも確かな思考と環境への柔軟な対応を感じさせた。

 フォーラムは半年後、今回は参加できなかった国々も加え、新しいテーマで開催する予定という。今後も国境を越えた子どもたちの「生の声」の交流が期待できそうだ。(c)東方新報/AFPBB News