【3月22日 People’s Daily】中国雲南省(Yunnan)華坪県(Huaping)果子山には、ギネスブックにも掲載された「世界最大規模のマンゴー園」がある。毎年8月から10月には、山いっぱいに植えられたマンゴーの木には大小のマンゴーが鈴なりに実り、辺り一面に馥郁(ふくいく)としたマンゴーの香りが漂う。

 意外なのは、数年前のここにあったのが空も見えないほどの粉じんと、あちこちに石炭脈石が転がるはげ山だけだったということだ。かつては中国の100重点石炭産出県であり、華坪県は財政の70%が石炭関連の産業で占められていた。経済成長をけん引したとはいえ、無秩序な石炭の採掘は生態環境に深刻な被害を及ぼし、人々の健康も影響を受けた。

 野放図な発展モデルは持続性がなく、華坪県は反省をもって生態系を優先し、グリーンな発展の道を歩み始めた。近年、華坪県にあった82の炭坑は13にまで減り、84%減少した。同時に鉱山の緑化に取り組み、はげ山には緑が戻った。熱がこもる気候の強みを生かし、華坪県は25の石炭関連企業と4万6000人あまりの炭坑作業員がマンゴー産業に転向するのを援助した。現在では、華坪県のマンゴー栽培面積は37万8000ムー(約252平方キロメートル)に達し、年の生産額は22億8000万元(約381億円)にのぼる。県全体において、貧困扶助ネットワークに登録されていた貧困世帯9000人が増収によって貧困を脱した。石炭から農業への転換により、生態系と経済がダブルで潤ったと言える。

 華坪県の産業転換は、石炭過剰生産を減らしグリーンな発展を進める中国の方針を反映したものだと言える。中国石炭工業会が3日に発表した「2020年石炭業界発展年度報告」によれば、過去5年間で中国は石炭過剰生産の削減目標を達成し、2020年末までの炭鉱減少数は累計5000か所ほど、石炭生産量の減少は年あたり10億トン以上、炭鉱の数は4700か所以下まで減った。また、中国は効率的かつクリーンな石炭利用を絶え間なく加速させており、全国の石炭火力発電のうち9億5000万キロワット分の設備が超低排出かつ省エネ仕様に改造され、これは全国の石炭火力発電設備の76%前後を占める。

 他に、石炭資源開発の布置も最適化され続けている。2020年末までに、中国で建設された年生産量120万トン以上の大型かつ現代化された炭鉱は1200か所以上であり、生産量は全国の80%程度を占める。石炭精算センターは資源の埋蔵量が豊富で採掘条件の整った山西省(Shanxi)・陝西省(Shaanxi)・内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)などのエリアへの集中を加速させており、2020年はこれらの3省における石炭生産量が全国の71.5%を占めた。

 リポートがさらに指摘するのは、「第14次5か年計画」の末期には、中国が所有する炭鉱の数は4000か所前後まで圧縮され、かつスマート化された炭鉱が1000か所以上建造されるということだ。将来的には石炭業界は集中化が進み、1000万トンクラスの炭鉱(露天)が65か所で、生産能力は年あたり10億トンになると予想される。3~5社の国際競争力ある一流の石炭企業を育成し、企業および業界の再編成を進め、年間生産量1億トンクラスの石炭企業10社にまとめあげる。採掘の機械化を90%以上、開削の機械化を75%以上に引き上げる。(c)People’s Daily/AFPBB News