【3月22日 Xinhua News】中国国家文物局は20日、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)で、長江上流域文明の中心とされる同省広漢市(Guanghan)の三星堆(さんせいたい、Sanxingdui)遺跡で重要な発見があったと発表した。3千年余り前に四川省一帯で栄えた古蜀国の祭祀(さいし)坑6基が新たに見つかり、黄金仮面、青銅の人物像や酒器、玉製礼器、絹、象牙などの遺物500点以上が出土した。

 同遺跡は成都平原の北部に位置する。分布面積は約12平方キロメートルで、中心区域の三星堆古城の面積は約3・6平方キロメートル。中国西南地区で最も規模が大きく、最も長く栄え、最も豊かな文化を持つ古城であり、古国であり、古蜀文明の遺跡とされる。

 同遺跡が初めて発見されたのは1920年代。1986年に見つかった1号祭祀坑と2号祭祀坑からは、黄金のつえや黄金仮面、縦目仮面(たてめかめん)、大立人像、神樹、象牙など貴重な遺物1720点が出土した。中国文明の多様性と革新性、創造性を示す遺物であり、青銅文明史の中で独特の地位を占めている。

 同遺跡発掘の総責任者を務める四川省文物考古研究院の唐飛(Tang Fei)院長は、新たに見つかった祭祀坑が1号、2号祭祀坑の隣にあり、新旧の祭祀坑で一つの祭祀坑エリアが構成されていると説明。専門家らは、三星堆の祭祀エリアが古蜀王国で天地や祖先を祭り、国の安泰と民の安寧を祈る場所だったとの見方を示している。

 祭祀坑の平面プランはいずれも長方形だが、大きさは3・5平方メートルから19平方メートルと差異が見られた。同祭祀エリアには他にも重要な祭祀遺構があると考えられている。3~6号祭祀坑は器物層まで発掘されており、7、8号祭祀坑では坑内の盛り土の発掘が進んでいる。これまでに黄金仮面の一部や鳥の形をした金の装飾品、銅製頭像、金箔(きんぱく)、青銅製の仮面や神樹、象牙彫刻の一部、象牙、玉琮、玉石器など重要な文化財500点余りが出土している。複合領域の調査では象牙の微細彫刻、絹や織物の残留物、炭化したイネや竹、広葉樹の種など各種遺物も見つかった。

 今回の発掘と保護・研究作業では、科学技術の手段を駆使して、複合領域にまたがる開かれた考古学活動の新モデルを構築した。発掘調査から科学技術考古学、遺物の保護・展示にいたる全プロセスの緊密な結合を実現し、四川省文物考古研究所や北京大学(Peking University)、中国社会科学院考古研究所、四川大学(Sichuan University)、上海大学(Shanghai University)など国内34の研究機関と大学が参加した。

 専門家は、今回の新発見が三星堆遺跡の文化的要素を一層充実させ、三星堆文化が持つ独特な信仰と芸術的創造を示したと指摘。中華文明の多元性と輝かしい成果の重要な実物例証になるとの見方を示した。

 同遺跡の発掘作業は現在も続いており、文化財部門は今後も地方政府と協力し遺跡の発掘・保護と展示・活用などを続けていく。将来的には今後新設される三星堆国家文物保護利用モデル区で遺跡や出土品を一般公開する予定だという。(c)Xinhua News/AFPBB News