【3月22日 Xinhua News】叙事詩「ケサル王伝」は、今から千年前のチベット族の伝説の英雄、ケサル王が妖魔を退治し、弱きを助け強きをくじき、人々に幸福をもたらした戦記として語り伝えられ、「東方のホメーロス叙事詩」とも呼ばれている。また、世界最長・最大規模かつ現代に「生きる」唯一の民間文学作品としても知られる。

 中国で「ケサル(ケスル)」は2006年、国務院により第一次国家指定無形文化遺産リストに登録され、2009年には「ケサル(ケスル)叙事詩の伝統」が国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に登録された。現在もこの叙事詩はチベット族、モンゴル族、トゥー族など九つの民族によって、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)、青海省(Qinghai)、四川省(Sichuan)など9省・自治区で、また中国のほか、ブータンやネパールなど全9カ国・地域で広く語り継がれている。

 チベット自治区民族芸術研究所のヌモ所長は、「『ケサル王伝大全』の全文分詞注釈から得た研究データによって、同作品が世界最長の叙事詩であると断言できる。全詩の行数は250万行を超えている。これまで100万行以上と一般的に言われていたが実際はその2・5倍ある」と述べた。

 しかも、これは現時点での最新データにすぎない。ヌモ氏は「今回の数字は、ケサルの古籍や実際の歌による語りなどが今後も発掘され、整理・出版されることで増大していくに違いない」との考えを示した。(c)Xinhua News/AFPBB News