【3月19日 AFP】ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は18日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)に対して、東京五輪の観客の受け入れに関する結論を急ぐ必要はないと促した。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で今年に延期された東京五輪は、次週に「簡素化」された聖火リレーが控えており、その出発式と全国各地に向けてのスタートは無観客で行われることになっている。このイベントは昨年、大会の延期が決まって見送られていた。

 五輪で海外からの一般客を受け入れるかどうかに関しては、聖火リレーが始まる25日より前に決まる見通しとなっている。前週には、ウイルスの感染拡大を懸念して日本政府が海外からのファンの受け入れを禁じる方針を固めたと報じられていた。

 日本ではこの冬に感染者が急増したにもかかわらず、これまで死者が約8700人にとどまるなど世界と比較して流行が抑えられており、他の国で行われているような全面的なロックダウン(都市封鎖)は回避されている。

 コー会長はオンラインで開かれた世界陸連の理事会で、「もちろん、スタジアムに観客が入っていることが望ましい」とした上で、「バランスを考慮して決めることだ」との見解を示し、「最も重要なのはアスリートを大会に参加させることであり、彼らが最優先の顧客グループだ」と述べた。

 現役時代には陸上男子1500メートルで二つの五輪金メダルを獲得したコー会長は、2012年のロンドン五輪大会組織委員会の会長を務めた。同大会は五輪史上最高の観客動員数を記録した大会の一つとして、広く評価されている。

 7月23日から8月8日まで約1万1000人のアスリートが参加する東京五輪について、同会長は「ファンの受け入れに関して、いつ決定するかは知らない」と明かすと、「結論が早過ぎないことを願っている。なぜなら、世界が変化していてワクチン接種も始まっている中で、無理に結論を出す理由を見いだせないからだ。私としては、現時点で決める必要はないと考えている」と語った。

 東京五輪組織委は公衆安全を「最優先」にすると強調しつつ、4月中にも大会全体の観客数の上限を決定する意向を示している。

 コー会長は、「答えは単純だ。ライブスポーツをするときに、スタジアムで観客を入れるほうが望ましいか? それはイエスだ」と述べた。(c)AFP