【3月16日 東方新報】中国でインターネット小説のブームは続いており、最近になって海外でも人気を博すようになった。中国インターネット情報センター(CNNIC)の統計によれば、2020年12月現在、中国内のネット小説の読者は4億6000万人に達し、2年前とくらべて約2800万人増えた。新型コロナウイルスの流行により、外出を控えて自宅でネット小説を読む人が増えたことが要因の一つだという。

 出版社が大きな影響力を持ち、小説の市場をほぼ独占している日本とは異なり、中国では2000年ごろからネット上が小説を発表する主要な舞台となり、いまや一大産業にまで発展した。

 中国でネット小説が成功する最大の理由は、その独特の課金制度にある。作者は小説専用サイトに投稿し、毎日、新しい内容を数千字ずつ更新するが、人気が高まると鍵が掛けられ、読者はチケットを購入しなければ続きが読めない仕組みになっている。月額読み放題のチケットが最も人気が高く、日本円にすると数十円から数十百円と単価は安いが、大ヒット作になれば、読者が100万人を超える場合もあり、作者に大きな収入をもたらす。

 ネット小説には異世界転移、転生、恋愛、武侠など複数の人気ジャンルがある。人気作家、唐家三少はここ数年、毎年の収入が10億円を超えている。ネット上で作品が話題になれば、その後、書籍として出版し、テレビ連続ドラマや映画にはなるケースもある。

 ネット小説の作家になるには、三つの能力が必要だといわれている。読者を引き付ける文章力、豊かな想像力、それに文章を書く速さも求められている。面白い小説であっても、更新が遅ければ読者が離れ、いったん離れた読者は二度と戻ってこない傾向があるという。あるネット小説家は、中国メディアの取材に対し「どんなに体調が悪くても休めないことが一番つらい」と話していた。

 2020年11月に発表された上海国際オンライン文学ウイークで「2020オンライン文学海外進出発展白書」によると、中国のネット小説の読者は世界中で増加しており、翻訳された中国のネット小説はいま、世界中40か国以上に輸出され、その数は1万点以上だという。中国の伝統文化を描いた「天道図書館」や、現代医学の発展が反映されている都市小説「大医凌然」など一部の作品は、海外の熱狂的なファンがおり、続きを早く知りたいため、中国語の勉強を始めた人も少なくないという。(c)東方新報/AFPBB News