【3月16日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン、Kim Yo-Jong)党副部長が16日、米国と韓国を強く非難した。国営メディアが伝えた。

 米韓両軍は先週、合同軍事演習を開始。今週は米国のジョー・バイデン(Joe Biden)新政権のロイド・オースティン(Lloyd Austin)国防長官、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官の日韓歴訪も行われている。両氏は15日、日本に到着した。

 与正氏は朝鮮労働党の機関紙、労働新聞(Rodong Sinmun)に掲載された談話で、「太平洋の向こうからわれわれの地に火薬のにおいを振りまきたくてたまらない米国の新政権に一言忠告する」として、「今後4年間、安眠したいのならば、眠りを妨げるような厄介事を最初から起こさない方がいいだろう」と警告した。

 与正氏は、「南朝鮮(韓国)政府は、民族全体が見守る前でまたも『暖かい3月』ではなく『戦争の3月』、『危機の3月』を選択した」と批判。「南朝鮮政府がその主人の指図に従うのならば、3年前の暖かい春に戻ることは難しいだろう」と述べ、韓国が「さらに挑発的」に振る舞うならば(2018年の)北南軍事合意書の破棄もあり得ると警告した。

 昨年の米大統領選でバイデン氏が選出されてから4か月以上が経過したが、北朝鮮が米新大統領に明確に言及したのは初めて。ただし今回もバイデン氏の名前は挙げていない。

 米国務省のジャリナ・ポーター(Jalina Porter)報道官は15日、報道陣に対し「2月中旬から、ニューヨークを含むいくつかのチャンネルを通じて」北朝鮮政府への接触を試みてきたと語った。だが「これまでのところ、北朝鮮側からは何も返答はない」という。

 米朝間には国交はないため、「ニューヨークのチャンネル」というのは北朝鮮の国連(UN)代表部のことを指すとみられる。(c)AFP