【3月15日 AFP】ドイツ2州で14日行われた地方選で、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の国政与党・キリスト教民主同盟(CDU)が大敗を喫した。連邦政府の新型コロナウイルス対応への批判と受け止められており、総選挙を半年後に控える中、党内には危機感が広がっている。

 公共放送のARDZDFの得票予想によると、中道右派のCDUは南西部バーデン・ビュルテンベルク(Baden-Wuerttemberg)州とラインラント・プファルツ(Rhineland-Palatinate)州で、得票率が党史上最低に沈んだ。

 この大敗を受け、今期限りで退任するメルケル氏の後任の首相選びがかかる9月26日の総選挙で、CDUが政権を維持できるかは分からなくなった。

 敗北の背景には、ワクチン接種の遅れや大規模迅速検査の実施延期、何か月も続くロックダウン(都市封鎖)にもかかわらず感染者数が減らない現状などへの有権者の不満の高まりがある。

 また、CDUとバイエルン(Bavaria)州の姉妹政党・キリスト教社会同盟(CSU)の所属議員らが新型コロナ流行初期にマスクの購入契約をめぐって利益を得ていた問題が選挙直前に明らかになり、保守系3議員が辞職したことも大きく影響した。

 ドイツでは、学校や店舗の段階的な再開が始まっている一方、感染第3波への懸念も広がっている。国立ロベルト・コッホ研究所(Robert Koch Institute)の直近の予想では、新規感染者数は4月半ばにも昨年12月のピーク時の1日当たり約3万人を超える恐れが指摘されている。(c)AFP/Michelle FITZPATRICK