【3月16日 People’s Daily】「2020年、私たちの海外向けeコマースの輸出総額が13億元(約220億円)に達しました。2021年には16億元(約270億円)にまで達する見込みです」と、浙江省(Zhejiang)のとある国際貿易会社の責任者は説明した。この貿易会社は2014年よりeコマースに参入し、2018年より海外向けのeコマースを始め、このところ年50%以上という高い成長率を保持している。

 中国税関総署の報道官で、統計分析局の李魁文(Li Kuiwen)局長が言うには、貿易の新たなスタイルとしての海外向けeコマースは、コロナ禍の輸出入貿易額において減少するどころか成長し続けている。2020年の中国の国際eコマースの取引総額は、1.69兆元(約29兆円)にまで達し、前年より31.1%増という高い成長率を誇る。うち輸出額は1.12兆元(約19兆円)で、40.1%成長した。いずれもかつてない良績だ。

 新型コロナウイルスの発生以来、国際航空便の便数は激減し、国際eコマースは、物流の遅れ、費用の高騰、返品や通関のトラブルといった問題に直面してきた。中国政府はこのような状況に応じ、一連の優遇政策を提示している。2020年、中国は22か国と協力体制を強化した。近頃、国務院は46の国際eコマース試験特区を新設し、合計105区にまで特区を拡大した。また、税関総署は国際eコマースのB2B型輸出方式を増設し、通関のスムーズ化を推進するという。目下、数多くの国際eコマース特区は国境を越える支払いの手続き、eコマースプラットフォーム、物流業者など産業チェーンへの優遇政策を推進している。

 コロナ禍が貿易のデジタル化という新しい情勢を後押しする中で、技術面でのイノベーションは中国からの輸出の成長に貢献している。たとえば、アリババ(Alibaba)は国際サイトで、インターネット上での展示会や、リアルタイムビデオ商談といった方法、さらにはAIを用いた翻訳・税関申告・物流・税還付などのサービスを通じて、顧客間の距離を縮めてきた。「私たちは売り手が正確に受注できる環境を整える必要があることはもちろんですが、加えて国際運送や支払い手続きがスムーズに行える環境をキープしなくてはなりません」と、アリババ国際サイトの張濶(Zhang Kuo)社長は述べる。

 海外に輸出される中国製品がますます増加する中、世界の消費者たちの求める水準も絶えず上昇している。アマゾン(Amazon)は先日、「新たな業態から新たな常態へー2020年中国の海外向けeコマースの傾向についての報告」において、中国のeコマース輸出には5つの傾向があるという結論を出した。それは、売り手の所在地や立場の多様化、全世界への進出加速、ブランド化意識の強化、品質改善の加速、需要に応じる能力の上昇だという。

「中国のeコマース輸出業界と商品の売り手は、野蛮な成長期から細かい改善期に転換してきました。eコマース輸出はいまや中国の貿易業を支える重要なパワーであり、まさしく貿易の『新たな業態』から『新たな常態』へと移行しています」と、アマゾン全世界副代表・アジア太平洋進出責任者の戴竫斐(Dai Jingfei)氏は述べる。(c)People’s Daily/AFPBB News