■「彼らはすべてを破壊するだろう」

 タリバン政権の崩壊によって、バーミヤンほど恩恵を受けた場所はないだろう。イスラム教シーア派(Shiite)が多数派を占めるバーミヤンの人々は、学校を再建し、援助を歓迎し、戦乱で荒廃したアフガニスタンに残されたわずかな国際的観光地を支えてきた。辺境なのでかえって安全という強みもあった。

 バーミヤン文化当局を率いるイスハク・モワヘッド(Ishaq Mowahed)氏は「仏像があそこに残っていれば、今の観光業も栄えていたのに」と悔やむ。それでも仏像跡に残された空洞にすら、観光客はやって来ると言う。

 そんなバーミヤン再生への期待も、タリバンの復権が近いかもしれないという懸念によって薄らいでいる。米国との画期的な合意で、数か月内に外国軍がアフガニスタンから撤退する可能性があるからだ。米国の空軍力と特殊部隊の支えなしで、アフガニスタン政府軍がタリバンの攻勢に長く持ちこたえるとは思えない。

「もしもタリバンが仏像を破壊したときと同じ価値体系や信条のまま戻ってくるならば、残っているものすべてを破壊するだろう」とモワヘッド氏は危惧する。

 タリバンは先月発表した声明で、アフガニスタンの考古学的遺産を保護すると約束している。しかし、バーミヤンでそれを信じる人はほぼいない。

  バーミヤン大学(Bamiyan University)で考古学を学んだというアナル・グル(Anar Gul)さん(23)は仏像破壊について「世界が忘れることのできない、忘れてはいけない罪だったのです」と語った。(c)AFP/Usman SHARIFI