【3月14日 AFP】英ロンドンで帰宅途中に殺害されたマーケティング会社役員サラ・エバラード(Sarah Everard)さん(33)の追悼集会で、警察が参加者を押さえつけて手錠をかけたことに批判が集中している。この事件では、女性への暴力に関する議論が全国的に巻き起こっていた。

 エバラードさんは、南ロンドンのクラパム(Clapham)の友人宅を訪れた後、徒歩で50分ほどの距離にあるブリクストン(Brixton)の自宅に戻る途中、3日午後9時30分(日本時間4日午前6時30分)ごろに行方が分からなくなった。

 13日、新型コロナウイルス感染拡大予防の制限措置が取られているにもかかわらず、追悼集会に参加しようという人たちが、エバラードさんが行方不明になった現場付近に集まった。

 警察は新型コロナ拡大予防の規制に違反するとして集会を禁止した。このため主催者は集会を中止したものの数百人が集まり、夜にかけて緊張が高まった。参加者の一部が警察との間で小競り合いになった。

 エバラードさん殺害で訴追された男が警察官だったことから、警察に向かって「恥を知れ」と叫ぶなど、参加者らは感情をあらわにした。

 エバラードさんを誘拐・殺害した容疑でイングランド南東部ケント(Kent)州の自宅で逮捕されたウェイン・カウゼンズ(Wayne Couzens)容疑者(48)は、13日に裁判所に出廷した。エバラードさんの遺体は同容疑者の自宅付近の森林で発見された。

 ソーシャルメディアに投稿された動画には、警察官が追悼イベントの参加者を押さえつけて手錠をかける様子が撮影されており、政治的な立場を超えて批判が巻き起こった。

 野党・労働党(Labour Party)のキア・スターマー(Keir Starmer)党首は、「今晩クラパムで起きたことには、深く心をかき乱される」とツイッター(Twitter)に投稿した。「このような扱いに対する彼らの怒りと動揺を私も共有する。この抗議行動をこのように取り締まるべきではなかった」 (c)AFP