【3月13日 AFP】オーストリアのセバスティアン・クルツ(Sebastian Kurz)首相は12日、欧州の一部の国は、欧州連合(EU)の規定で定められた量よりも多くのワクチンを受け取るため、ワクチン製造会社と「裏取引」をしている可能性があると主張した。

 EU加盟国は、各国の人口に合わせてワクチン供給量を調整することで合意した。しかしクルツ首相は、加盟国のワクチン調達量を比較したところ、「(各国への)ワクチン供給量は、人口に応じて割り当てる仕組みに即していない」ことが判明したと主張。

「加盟国と製薬会社が追加契約を結んだ『市場』のようなものが存在することを示す手掛かり」として、1人当たりのワクチン量で比べると、今年7月末までにマルタはブルガリアの3倍の量のワクチンを確保し、6月末までにオランダはドイツより多いばかりか、クロアチアの2倍近い量のワクチンを確保することを例に挙げ、「これはEUの政治指針とは明らかに矛盾している」と述べた。

 しかし、EU側は、クルツ首相が主張するような水面下での取引は行われていないと一蹴。

 欧州委員会(European Commission)のステファン・デケースマーカー(Stefan de Keersmaecker)報道官は、「加盟国が、供給されるワクチン量の増減を依頼することもあるだろうが、それについては加盟国同士で話し合われている」と述べ、「加盟国同士の協議により、製薬会社との合意で新たな分配量が決まることも考えられる」とした。

 ワクチン接種計画が遅いとして批判されているEU加盟国は、供給と出荷に問題があるとしている。

 ワクチン接種を1回以上受けた人口の比率でみると、米国やイスラエル、英国と比較して、欧州各国は後れを取っている。(c)AFP