【3月12日 AFP】(更新)世界保健機関(WHO)は12日、英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)が開発した新型コロナウイルスワクチンについて、使用を中止する理由はないと述べた。同ワクチンをめぐっては、血栓発症の懸念から、複数の国が接種の見合わせや延期を発表している。

 WHOは、ワクチン諮問委員会が安全性データを確認中だとした一方で、ワクチンと血栓の因果関係は立証されていないと強調。WHOのマーガレット・ハリス(Margaret Harris)報道官はスイス・ジュネーブで行った記者会見で「アストラゼネカ製は他社製同様、優れたワクチンだ」とし、使用は継続するべきとの見解を示した一方で、安全性の懸念はいかなるものも調査されなければいけないと強調した。

 アストラゼネカは、自社製ワクチンの安全性を主張し、接種により血栓リスクが増加することを示す「証拠はない」とした。

 接種後の人が血栓を発症したとの少数の報告を受け、デンマーク、ノルウェー、アイスランドは予防措置としてアストラゼネカ製ワクチンの接種を停止。イタリアやオーストリアは一部ロットの使用を禁止し、タイやブルガリアは接種延期を発表した。

 だが、オーストリアなど数か国は、中止すべき理由がないとして、接種の継続を表明。カナダも、有害な副反応の証拠はないとの見解を示した。

 一方、欧州医薬品庁(EMA)は、英国で確認された複数の事例を受け、アストラゼネカ製ワクチンの接種により生じ得る副反応のリストに、重度のアレルギー反応を追加するよう推奨。同社製ワクチンにとって一段の逆風となった。(c)AFP