【3月12日 AFP】ロシアの食品小売り大手X5リテール・グループ(X5 Retail Group)は10日、同社のスーパーやコンビニでの顔認証決済の運用を開始したと発表した。ロシアでは、顔認証技術をめぐり、個人情報の保護やセキュリティーに関する懸念が高まっている。

 X5リテールは顔認証決済の導入に当たり、クレジットカード大手ビザ(Visa)と、ロシアの国営銀行でIT事業に力を入れるズベルバンク(Sberbank)と提携した。

 X5リテールのイノベーション部門責任者、イワン・メルニク(Ivan Melnik)氏はAFPに対し、スーパー「ペレクリョストク(Perekrestok)」52店舗で運用が始まっており、今月中に計150店舗に拡大すると述べた。4月中にコンビニ「ピャチョロチカ(Pyaterochka)」30店舗でも導入予定。今年中に全国約3000店舗で顔認証決済の利用が可能になるという。

 発表によると、利用客はマスクを「一瞬だけ外し、カメラを見る」必要がある。

 ロシアでは、顔認証技術の利用が急速に拡大しており、国家による監視への懸念が高まっている。新型コロナウイルスの流行初期には、数万台の監視カメラを使い、ロックダウン(都市封鎖)規制違反を取り締まっていた。

 映像は顔認証決済での買い物の様子と決済システムについて説明を受ける販売員、9日撮影。(c)AFP