時計ジャーナリストが選ぶ"これぞ"の1本! コロナ禍の影響で時計フェアは軒並み中止になったものの、魅力的な新作が数多く発表された2020年。その中から時計ジャーナリストが選んだ"本気で欲しい!"と感じた傑作モデルとは? 

HAMILTON(ハミルトン)/ハミルトン PSR
往年のモデルを3Dスキャンすることで魅力的な フォルムを完全に再現。ディスプレイは常時表示されるがスイッチを押すことで輝度がアップし視認性が高まる仕様。防水性も高く実用度は満点だ。クオーツ。ステンレススティール、ケースサイズW40.8×H34.7㎜、10気圧防水。税別9万円。

液晶と有機ELのハイブリッドディスプレイ採用で常時表示を実現。残念なのは「Pulsar」という表記が使えず「HAMILTON」となっていることだけ。

あの幻のLEDウォッチがすべて進化して完全復刻。これが私の"未来時計"

"未来の時計"をそのままカタチにしたのが、1970年代にハミルトンが発表したLEDデジタル・ウォッチ「パルサー」である。ただ、残念ながら当時の技術ではLEDの常時表示は難しく、時刻を知るにはスイッチが不可欠で電池寿命も長くないため、常時表示が可能で電池の持ちも良い液晶に取って代わられ、短命に終わってしまった。とはいえ私もそんな幻のLEDウォッチ愛好家のひとり。当時の他社モデルを電池交換で生きながらえさせているが、いつか本物の「パルサー」を手に入れるのが夢。

だが2020年、誕生から半世紀を経て、幻の「パルサー」がまさかの大復活。しかも液晶と有機ELを組み合わせたハイブリッドディスプレイの採用で当時のイメージを保ちつつ、スイッチ不要の常時表示を実現している。これは凄い! ケースも完璧。「パルサー」のシリーズ中、もっとも魅力的といわれる1973年の「P2」を3Dスキャンし、オリジナルのフォルムを完全再現。さらに保護ガラスはサファイアとなり、バッテリー寿命も5~7年と大幅にアップデイトされているのも魅力だ。

もはや当時のモデルを美品で入手するのは難しく、たとえ手に入れても、いつ壊れるか心配。そう考えると、すべてが進化した「ハミルトン PSR」は理想のLEDデジタル・ウォッチであり、私にとって夢の"未来時計"なのである。

名畑政治(なばた・まさはる)/新型コロナの影響で取材や展示会が激減したため、自宅で原稿書きの合間に資料整理とDIYの日々。ずっと考えていた手作りアイテムが次々完成するのは嬉しいが、ちょっと複雑な気持ちだね。

(ENGINE 2021年02・03月合併号)