時計ジャーナリストが選ぶ"これぞ"の1本! コロナ禍の影響で時計フェアは軒並み中止になったものの、魅力的な新作が数多く発表された2020年。その中から時計ジャーナリストが選んだ"本気で欲しい!"と感じた傑作モデルとは?

CHANEL(シャネル)/J12 パラドックス
ブラックとホワイト2種類のケースを結合し、ベゼルとダイアルはパッドプリントでツートーンを表現。ムーブメントは話題のケニッシ社が手がけるCal.12.1。自動巻き。高耐性ホワイト&ブラックセラミック&SSケース、ケース直径38㎜、50m防水。税別86万5000円。

ケースはブラックとホワイトの硬質なセラミックを寸分の狂いなくカットして結合。高い技術がなくては不可能なクリエイションだ。

時計デザインの進化を予感させる斬新なツートーン

ハイコンプリケーションでも、シンプルな3針モデルでも、身に着けるものである以上、時計はルックスが良くてナンボだと思っている。うれしいことに、毎年の新作には魅力的なルックスを持った時計が必ず数モデルはあるのだが、2020年に発表されたシャネルの「J12 パラドックス」には、魅了されるどころか"心を鷲掴み"にされた。

2000年にブラックのセラミックケースをまとってデビューし、その3年後にはホワイトモデルを追加した「J12」。2019年、"何も変えずにすべてを変える"をコンセプトに、一見しただけでは変更点が分からないながらも、実は約70%ものパーツを変更するリニューアルを行なったが、誕生20年の節目となった2020年に発表したのは、誰の目にも新鮮なツートーン・デザイン。

もちろん、これまでもツートーンの時計は存在した。しかし、ダイアルとベゼルでの色変えなど、いずれも"想定の範囲内"であったことは事実だ。対する「J12 パラドックス」が示したのは、ケース、ベゼル、ダイアルをまたいでスパッと一直線にトーンを切り替えたアシンメトリーな意匠。ありそうでなかったツートーンの表現方法は、時計のデザイン表現が広がっていく可能性さえ感じさせてくれるものだ。

竹石祐三(たけいし・ゆうぞう)/2020年は、STAYHOME期間に貯まった小遣いでスモールサイズのパイロットウォッチを購入。これが自転車に乗るときにめっぽう使いやすくて、最近着けているのはこればかり。

(ENGINE 2021年02・03月合併号)