数百万人の飢餓リスク、コロナ禍と気候変動で悪化 国連事務総長
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【3月12日 AFP】国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は11日、世界で数百万人が飢餓により命を落としかねない状況が、新型コロナウイルスの流行と気候変動で悪化していると述べた。
国連安全保障理事会(UN Security Council)の食糧と安全保障に関する会議で、グテレス氏は「直ちに行動を起こさなければ、何百万もの人々が極度の飢餓と死の瀬戸際に立たされることになる」と語った。
グテレス氏は、30か国以上で3000万人超が飢饉(ききん)宣言の「一歩手前」に置かれていると指摘。「気候ショックと新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が、状況を悪化させている。私のメッセージはシンプルだ。人々を食べさせなければ、対立をあおるということだ」と述べた。
同氏によると、紛争や政情不安のせいで深刻な飢餓に苦しむ人は、昨年末時点で8800万人以上となり、1年で20%増加した。今年はさらに悪化する傾向だという。
飢餓リスクが高いとされているのは、アフリカ大陸北東部の「アフリカの角(Horn of Africa)」地域、サハラ砂漠南部のサヘル(Sahel)地域、南スーダン、イエメン、アフガニスタンなどだ。
グテレス氏によると、国連とその機関は高リスク地域の計3400万人を救済するために55億ドル(約6000億円)の緊急支援を訴えている。
同氏はまた「大惨事を回避するため」に、世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関(FAO)の代表から成るタスクフォースを立ち上げると発表した。(c)AFP/Philippe RATER