【3月12日 AFP】中国の全国人民代表大会(National People's Congress、全人代、国会に相当)は11日、香港立法会(議会)の選挙制度を全面的に改革する議案を可決した。中国政府が特定の候補者を拒否する権限を持つなど、香港が確実に「愛国者」のみで統治されるようにする狙いがある。

 昨年の全人代では、香港国家安全維持法(国安法)が成立。11日の投票では、代表2896人のうち1人だけが棄権した。今回の決定により、香港の民主派運動がまた一歩終わりに近づくとの批判も出ている。

 全人代報道官は5日、今回の議案は香港の統治を「愛国的で香港を愛する勢力の手にしっかりと委ねる」狙いがあると述べていた。

 香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は直ちに決定を歓迎。「香港政府と私は今回の決定をかたく支持し、心の底から謝意を表する」と述べた。

 しかし林鄭氏の顧問の一人、陳智思(バーナード・チャン、Bernard Chan)氏が今週AFPに語ったところによると、側近らはこの動きを香港の民主主義の発展における「後退」だと認めているという。

 陳氏は「過去23年間にわたり、いわゆる政治改革を進めていくことが実は『一国二制度』を下支えするのだということを中央政府に示すという面では、われわれは明らかにうまくやれなかった」と述べた。

 1997年の香港返還以来、中国は香港に一定の自治を保障するとうたってきた。だがここ数か月の間にその地位は揺らぎ、国際社会からの非難を招いている。(c)AFP/Beiyi Seow and Leo Ramirez