【3月11日 People’s Daily】「以前、サケツバタケとは知らなかった。本当に中国科学院の専門家が言ったようないいものなのか。半信半疑だったが、村人たちがよく育てているのを見て、試してみることにした」。中国貴州省(Guizhou)水城県(Shuicheng)蟠竜鎮(Panlong)の住民・楊朝倫(Yang Chaolun)さんは自分の貧困脱却の経験を話した。「振り返ってみると、サケツバタケの栽培はもうかるビジネスだった。1ムー(約667平方メートル)のサケツバタケは数千元で売れるから、収入は一気に何倍にもなった」と楊さん。

 中国は科学技術による貧困削減を着実に推進することにより、多くの農民を貧困から脱却させ豊かになることを実現させた。2012年以来、中国の科学技術関連部署は貧困地区に計1290のイノベーション起業プラットフォームを構築し、7万7000組の科学技術サポートペアをマッチングさせ、28万9800人の科学技術特派員を派遣し、200億元(約3300億円)以上の資金を投入し、3万7600の各級・各種科学技術プロジェクトを実施し、5万件余りの先進的な実用技術、新品種を普及・導入した。

 浙江省(Zhejiang)武義県(Wuyi)では、浙江省農業科学院園芸研究所の蔡為明(Cai Weiming)研究員がチームを率い、菌床の集中生産モデル基地を設立した。「成果を農民に見せ、農民を率いて一緒にやる」という信念を持ち、新しい生産ラインを20本以上建設し、年間3800万本以上の菌床を生産した。これにより、同県の90%以上のキノコ農家にその恩恵は及び、増収や支出削減分の金額は合計1億元を超えた。

「ネーブルオレンジの収穫期間の春までの延長」を実現するため、中国工程院の鄧秀新(Deng Xiuxin) 院士は、湖北省(Hubei)秭帰県(Zigui)で「果実を果樹にとどめることで鮮度を保持」する栽培技術を普及させた。この技術は果物の収穫期間を効果的に引き延ばし、ネーブルオレンジの「成熟時期・摘み取り時期・発売時期」の3つの引き延ばしを実現させ、秭帰県を中国のかんきつ類の供給期間の一番長い生産地の一つにした。この技術だけで、農民に30%以上の増収をもたらした。

 雲南省(Yunnan)瀾滄県(Lancang)で、中国工程院の朱有勇(Zhu Youyong)院士が率いるチームは科学技術貧困対策指導クラスを創設し、「郷鎮農業技術者+学生+農家」という新モデルで、手を取って農業生産技能を貧困民衆に伝授した。現地の村民の馬正発(Ma Zhengfa)さんは指導クラスで冬季のジャガイモ栽培と果樹栽培の2つのコースを受講した。卒業後、彼は学んだ新しい技術で、自らの増収を実現しただけではなく、全国貧困削減開発情報システムに登録していた同村の10世帯余りの貧困家庭を先導し、貧困からの脱却を実現させた。

 中国科学技術省の関連担当者によると、2014年以来、中央財政は計21億4000万元(約358億円)を投入し、「三区」(遠隔貧困地区、辺境少数民族地区、革命老区「中国の共産革命時に拠点となった地域」)の人材サポート計画の科学技術者特別計画を実施してきた。技術を解し、経営ができ、管理に長(た)けた農村人材を計2万人以上育成し、貧困地区のために「現地に残れる、仕事ができる、連れていけない」チームを育成したという。(c)People’s Daily/AFPBB News