■打倒君主制?

「女王が亡くなったとき、チャールズ皇太子は非常に高齢で国王となる。1952年のときの若き女王とは似ても似つかないだろう」とヘーゼル教授は言う。

「タブロイド紙が世論調査を行うのは目に見えている。国王にはチャールズ皇太子がふさわしいか、それとも若くて魅力的なウィリアム王子(Prince William、39)がふさわしいか、と」。それもまた「王室にとって問題だ」とヘーゼル氏は指摘する。

 だがヘーゼル氏によると、昔から若い世代は共和制を支持する傾向があり、年を取るにつれて君主制支持に傾くという。

 長きにわたったエリザベス女王の統治の終わりが近づくにつれ、共和制支持派はチャンスの到来を感じている。だが何世紀にも及ぶスキャンダルや計略、陰謀を切り抜け、英国文化と不可分な存在となっている君主制の打倒を目指すとき、そこに立ちはだかる障壁は手ごわい。

 まずは「憲法を変えなければならない」とヘーゼル氏は言う。「これは明記されていることではないが…そうした大きな変更には国民投票が必要だというのは、全ての専門家の意見が一致するところだ」

 英国は2016年の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決定して以来、国内分裂と憲法論争に明け暮れる苦難の5年間を過ごしてきた。再び大きな国民投票を行うことには、二大政党のどちらも熱意を示していない。

 そしてたとえチャールズ皇太子が即位後にやはり不人気だったとしても、「それはチャールズ国王に対する脅威であって、君主制に対する脅威ではない」とヘーゼル氏は言う。その後ろには若く、人気の高いウィリアム王子が控えている。(c)AFP/James PHEBY