【3月16日 AFP】英王室を離脱したヘンリー王子(Prince Harry)と妻メーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)が米テレビ番組のインタビューで、王室内の人種差別を告発した。英王室の目下の存続は揺るがないというのが専門家らの見解だが、この騒ぎによって露呈した文化的亀裂は、前途に待ち受ける困難を予感させる。

 今回の暴露は「英国にとって、ソフトパワー災害だ」と言うのは、英紙タイムズ(Times)で外交問題を担当するキャサリン・フィルプ(Catherine Philp)記者だ。英王室は「エリザベス女王(Queen Elizabeth II)の君臨なくして存続可能なのか、あるいは存続させるべきなのか」という問いが、これによって浮上したと同氏は紙面で指摘した。

 米司会者オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)氏とのインタビューにおけるヘンリー王子夫妻の爆弾発言は今のところ、1000年の歴史を持つ英王室の人気にほとんど影響していない。

 英国で8日にインタビューが放送された後、調査会社ユーガブ(YouGov)が同国で行ったアンケートでは、回答者の約3分の1が王室一家に共感すると答えた。一方、ヘンリー王子とメーガン妃への支持は22%にとどまった。

 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London)の政府・憲法学の教授、ロバート・ヘーゼル(Robert Hazell)氏はAFPに「英王室の危機であることは確かだが、一家のメロドラマ的な危機であって、君主制の危機ではない」と語った。世論調査で王室への支持が著しく低下しない限り、制度自体の危機ではないとの主張だ。

 1952年に即位したエリザベス女王は、94歳となった今も絶大な人気を保っている。支持率は79%と、政治家だったら夢のような数字だ。

 英調査会社イプソス・モリ(Ipsos MORI)が3月第2週に実施した世論調査でも、君主制の廃止で英国はもっと良くなると答えた人はわずか17%だった。