【3月10日 AFP】米南部アーカンソー州は9日、レイプや近親相姦(そうかん)による妊娠も含め、人工中絶をほぼ全面的に禁じる法案を可決した。同法の支持者らは、全米で中絶の権利を保護する1973年の司法判断を最高裁が覆すことを望んでいる。

 キリスト教保守派が多いことで知られる同州のエーサ・ハチンソン(Asa Hutchinson)知事は、中絶が認められる唯一の例外は「母体救命時」に限られると発表した。

 ハチンソン知事は「長年にわたり持ち続けてきた、中絶反対という心からの信念」に基づいて新法に署名したと述べるとともに、「今回の法制化には、最高裁が現行の判例法を覆す土台作りになればという意図がある」と明かした。

 同州法の施行は今夏以降になる予定。有力な人権団体「米国自由人権協会(ACLU)」は、法廷で異議を申し立てる方針を既に表明している。

 人工妊娠中絶は、米国の世論を二分する問題であり、特にキリスト教福音派が根強い反発を示している。

 近年、複数の中・南部の州が中絶を制限する法律を制定しており、多くの医院が中絶の施術をやめている。(c)AFP