【3月11日 Xinhua News】春節(旧正月、Lunar New Year)明けは例年、家電販売の閑散期だが、美的集団など中国家電大手はこのほど、冷蔵庫や洗濯機など複数分野の値上げ公告を相次いで発表した。

 実は、国内家電値上がり兆候は20年に見られた。家電製品の市場調査を手掛ける奥維雲網(AVC)のモニタリングによれば、2020年下半期(7~12月)以降、国内の複数の家電品目が値上がりした。20年12月時点のオンライン市場平均価格はカラーテレビが前年同期比27・0%、エアコンが19・3%それぞれ上昇した。

 専門家は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、世界の供給に構造的なひっ迫が生じ、それが金属原料の値上がりにつながったと分析した。20年上半期(1~6月)に国内市場の消費が伸び悩んだことから、家電メーカーらは販促値下げに踏み切り、各種家電の平均価格は下落していた。だが、その後に国内市場の需要回復と原材料高が重なり、家電価格の上昇を招いた。

 中国家用電器協会の徐東生(Xu Dongsheng)副理事長は「一部の家電は原料コストが7割強を占める。主要原材料の値上がりがコストを押し上げ、一部の家電価格を上昇させた」と指摘した。

 チップ供給のひっ迫も家電価格に影響を与えた。中国工業・情報化部の黄利斌(Huang Libin)報道官によると、新型コロナの感染拡大でオンライン需要が喚起され、世界の主な集積回路(IC)生産ライン全てで生産力不足が発生したという。

 カラーテレビ価格はパネルの値上がりを受け、同様に上昇した。国内のパネル大手は20年、いずれも増益を達成している。中でも、TCL華星光電技術(CSOT)の純利益は19年の2・4倍超に伸びた。大型ディスプレー価格は20年第3四半期(7~9月)から上昇の一途をたどっている。

 原材料や中間製品の値上がりだけでなく、大多数の家電メーカーが不定期に行う製品のモデルチェンジや性能のアップグレードも値上げに影響している。エアコンを例にとると、新しいエネルギー効率基準が20年7月に実施され、エアコンのエネルギー消費や性能などに対し、より厳しい基準が適用され、コストを増大させた。このほか、人件費や輸送費、物流費などの上昇も家電の値上がり要因となっている。(c)Xinhua News/AFPBB News