【3月11日 AFP】中国の全国人民代表大会(National People's Congress、全人代、国会に相当)は、一党独裁の共産党を自動的に承認する場だというのが大方の見方だ。だが、次々と打ち出される大胆で突拍子もない提言は、「閉ざされた最高機関」の思考を知る手掛かりになるかもしれない。

 1週間にわたって開かれた全人代では、全国の代表約3000人と、国政助言機関・全国政治協商会議(CPPCC、政協)委員約2000人がそれぞれ集まり、中国の経済および社会機構の問題をいかに解決するかを議論した。

 政協委員には、オンラインゲーム大手・網易(NetEase)創始者の丁磊(ディン・レイ、Ding Lei)氏、米プロバスケットボール(NBA)の元スター選手・姚明(ヤオ・ミン、Yao Ming)氏、中国疾病対策予防センター(CCDC)の高福(Gao Fu)氏らが名を連ねている。

 中国のソーシャルメディアで話題となった、いくつかの提言を以下にまとめた。

■愛を教える授業

 大学の講義で愛を教えることはできるのだろうか──。結婚するカップルが減り、経済の原動力となる次世代の人口が減少する事態を前に、「恋愛と結婚」を大学の必須科目にするときが来たとの提言が政協委員から出された。

 中国では近年、離婚件数が増加しており、夫婦が冷静に考え直すための「クーリング期間」を義務付けている。そのような現状を背景に、「若者たちは情緒的な問題や、性的な問題に対処する方法をほとんど理解していない」と広州大学(Guangzhou University)のユー・シンウェイ(Yu Xinwei)副学長が指摘した。

■「男性は男らしい」スポーツを

 全人代の代表の一人、シオン・シドン(Xiong Sidong)氏は、少年らには「より男らしさを求めて」サッカーやバスケットボールなどの競技スポーツを推奨することが望まれ、また少女らは「柔軟性を高めるために新体操やヨガといった運動を追求すべきだ」と提言書に書いた。

 同氏は、中国の少年らには「伝統的な男らしさ」とは対照的に「気弱でおとなしく、依存しがち」な性質がみられ、「社会および家庭での諸問題」を生み出していると指摘。男女別の授業によって「自然で健康な発達」が可能になると主張した。

 この提言はインターネット上でひんしゅくを買い、子どもは性別ではなく自らの興味や関心によって授業を選べるようにすべきと多くが反論した。