【3月10日 People’s Daily】中国人にとって1年で最も重要な時期である春節(旧正月)。今年は2月12日に春節を迎えたが、多くの国民が帰省を控えた。新型コロナウイルスを拡大させないため、大切な家族を守るため。その家族愛と国民の団結力は海外メディアがたたえた。世界の要人や国際機関トップは丑(うし)年にちなみ、牛のような力強さを誇る中国の人々を称賛した。

 中国では春節前に帰省し、大みそかの夜に家族で食事を楽しむのが習慣。しかし今年は1億人以上の勤め人や学生が帰省せずに現地での年越しを選んだ。1月28日から2月11日までの鉄道利用者数は前年同期比マイナス68.8%の5233万人で、1億1600万人も減少した。一方で春節に再会できない親子間が互いに贈り物を届け、2月11日から15日までの宅配取扱件数は前年同期比224%の3億6500万件に上った。国を愛し、家族を思いやる気持ち。スペインの日刊紙「パイス」は「中国はますますポスト・コロナ時代の国として進化している」と報じた。

 コロナ禍において多くの国を支援してきた中国に、春節に合わせて多くのメッセージが寄せられている。インターネット上の新年の集いに参加したアイルランドのマーティン首相は「わが国が中国で防疫物資を購入する際、多くの協力をしてくれたことに感謝している」と述べた。パキスタンのアルビ大統領も中国から新型コロナ対策の支援を受けたことに感謝し、「パキスタンと中国の友好関係は伝統的で強固なものだ」と強調した。赤道ギニアのマング副大統領は中国からのワクチン支援について語り、「両国は忘れがたい友情を刻んだ」と述べた。

 今年の干支(えと)である牛は、中国では勤勉、献身、進歩、強さの象徴とされている。国連のグテレス事務総長は春節のメッセージで、自身が1949年の丑年生まれだと紹介し、「牛はエネルギー、強さ、勇気を象徴しており、いま世界が最も必要としている資質だ」と語った。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は中国の伝説上の生き物・金牛に言及し、「金牛は明るい世界を象徴している。私たちは新型コロナを乗り越えられると確信している」と語った。世界貿易機関(WTO)のブラウナー事務局次長も「丑年は必ずや復興の年となる」とメッセージを寄せた。

 春節の祝いは世界の各都市でも行われた。ニューヨークや東京では名所でライトアップがほどこされ、今年初めて春節が公休日となったタイの首都バンコクでは、大きな龍がアクロバティックな動きを見せる「龍舞」や盛大な花火、150団体が参加したパレードなどが行われた。春節を通じ、人類が運命共同体としてグローバルな協力関係を保っていく重要性を、世界の要人や市民があらためて感じ取っていた。(c)People’s Daily/AFPBB News