【3月8日 Xinhua News】中国河北省(Hebei)の黄驊(こうか)市博物館はこのほど、所蔵する北朝時代(386~581年)の石像60体余りをデジタル化して保存する作業を終えた。3次元デジタル情報と高解像度画像データを大量に作成し、破損した石像の一部を仮想空間で復元した。

 同市では1980年、同市旧城村と嶺荘村の穴蔵から漢白玉(大理石の一種)製の像64体が見つかった。52体に願文、44体に年号が刻まれており、唐代に作られた1体を除く全てが北朝時代の東魏、北斉のものだった。北朝年号の願文で最も古いのは東魏の興和元(539)年、最も新しいのは北斉の武平7(576)年で、造像日や功徳主(施主)の住所、本籍、氏名、造像理由、願い事が書かれていた。

 博物館は2018年11月、保管庫で40年近く保管され続けていたこれら石像の非接触によるデジタル保存を開始した。同館の張宝剛(Zhang Baogang)館長は「主に3次元レーザースキャンや近接撮影、3Dプリントなどの技術を用いて石像や破片のデジタル情報を収集した。3次元高解像度モデル、高精度カラーモデル、オルソ画像を作成し、一部の石像の仮想復元と3Dプリントを行った」と説明した。作業の成果は現在、河北省文物局が専門家に依頼して検収作業を進めている。

 張氏によると、これらの石像は、現在の黄驊市一帯の北朝時代における仏教信仰の文献上の空白を埋めることができるほか、同時代の河北省南東部の山東省(Shandong)に近い地域の仏教信仰と石像芸術を研究する上で貴重な実物資料になる。(c)Xinhua News/AFPBB News