【3月6日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は5日、同化政策の強化を指示し、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)当局は「民族問題を解決」して標準中国語の使用を推し進めていくべきだと述べた。同地区では昨年、モンゴル語に代わって標準中国語で教育が義務化されることに反対する住民らが激しい抗議活動を行った。

 中国政府は、少数民族を多数派の漢民族に同化させる政策の一環として、標準中国語による教育の義務化を全国的に推し進めているが、内モンゴル自治区では昨年、モンゴル語の代わりに標準中国語で教育を行うようカリキュラムが変更されたことを受け、数万人が抗議デモや授業のボイコットを行った。

 同自治区での抗議活動はまれだが、過去数十年で国内最大規模となった抗議デモを受け、政府は取り締まりを開始し、装甲車両で複数の学校を包囲し、警察当局はデモを主導した数十人を拘束。さらに当局は、子どもに学校をボイコットさせた親に対して、解雇や罰金、子どもの退学という脅しをちらつかせ、地域によっては、同級生らを説得して登校させた子どもに金銭の提供を申し出ていた。

 内モンゴル自治区での弾圧は、同様の同化政策を実施している新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)やチベット(Tibet)自治区における中国政府の動きに呼応する。

 国営メディアによると、習氏は5日、全国人民代表大会(National People's Congress、全人代、国会に相当)で、内モンゴル自治区での文化や民族についての「誤った認識」を正すため、地元当局は「全国共通の教材の使用をしっかりと推進」すべきだとの考えを示した。

 習氏は内モンゴル自治区での抗議活動について、地元当局に「中国の特色で民族問題を解決するという正しい道を歩み続けるべきだ」と求め、内モンゴル自治区の住民らは「漢民族は少数民族から切り離せず、少数民族も漢民族からは切り離せないことを覚えておくべきだ」と述べた。(c)AFP